
上村愛子/フリースタイルスキー
スキー界のアイドルが悲願の金メダル獲得へ!
1979年12月9日、兵庫県生まれ。北野建設所属。156p/48s。五輪に初出場となる長野五輪では、愛らしいルックスと高校在学中という話題性で一躍脚光を浴びる存在に。大会は7位だったが、スキー界のアイドルとなった。その後、ソルトレークシティー五輪では6位、トリノ五輪では取り組んでいた大技3Dエアを成功させるもターン点が伸びずに5位で終える。トリノ五輪後は、得点の半分を占めるターンを強化。世界屈指となったターン技術を武器に、’07‐’08シーズンのW杯で総合優勝、’09年の世界選手権ではモーグルとデュアルモーグルの2冠を達成した。バンクーバー五輪には世界女王として、優勝候補の一角として大会に臨む。今季はやや調子に波があり苦しんでいるが、年齢的にも集大成となる五輪で、表彰台の一番高いところでの愛子スマイルに期待。また、昨年にはアルペンの皆川賢太郎と結婚して、夫婦でのメダル獲得にも期待がかかる。
葛西紀明/ジャンプ
五輪最多出場の神風ジャンパーがメダルへ飛翔
1972年6月6日、北海道生まれ。土屋ホーム所属。176p/59s。’92年のアルベールビル五輪から、リレハンメル五輪、長野五輪、ソルトレークシティー五輪、トリノ五輪まで連続出場。バンクーバー五輪出場も決まって、世界最多タイ記録となる冬季五輪6大会出場が確実となった。19歳の五輪初出場から22年間(アルベールビル五輪とリレハンメル五輪の間隔は2年)、ルール変更への対応が遅れて低迷した時期もあったが、日本ジャンプ陣を牽引してきた。数々の実績を残す中、日本が団体で金メダルを獲得した長野五輪では金メダルの団体メンバーに入れない不運や、所属チームの2度の廃部も経験した。それでも第一線で活躍し続け、大ベテランとなっても’07年と’09年の世界選手権の団体銅メダル獲得に大きく貢献。今季は五輪前のW杯個人戦で2位になるなど上り調子。競技人生の集大成となる五輪を、金メダルで締めくくる準備は整った。
小林範仁/ノルディック複合
複合のエースは金メダル獲得でタレント転身を狙う!?
1982年5月4日、秋田県生まれ。東京美装所属。174p/65s。’09年世界選手権の団体金メダルの立役者。前半のジャンプでリードして逃げ切るタイプの選手が多い日本にあって、後半のクロスカントリーで強さを発揮する。その強さの秘密は、マタギ発祥の地といわれている北秋田市阿仁町出身で、野山や雪山を駆けまわることで育まれた強靭な足腰。苦手なジャンプの成長に伴って、クロスカントリーの強さが生きるようになった。明るいキャラクターも魅力で、ムードメーカーとしてチームを盛り上げる。金メダルを獲ったあかつきには、複合の先輩でスポーツキャスターの荻原次晴の座を狙うと冗談交じりに公言。インタビューでのコメントにも注目したい。個人戦よりもメダルの可能性が高い団体では、小林と同じく北秋田市阿仁町出身で幼なじみの高橋大斗と湊祐介が心強い味方になる。チームワークの良さで世界一を目指す。
高橋大輔/フィギュアスケート
日本男子初を成し遂げるパイオニアがメダル獲得へ
1986年3月16日、岡山県生まれ。関西大学所属。165p/59s。中学生の時に頭角を現し、’02年には日本男子初となる世界ジュニア選手権優勝。しかし、シニア転向後は、思うように結果が出ず苦しんだ。翌年に控えたトリノ五輪の出場枠がかかった’05年の世界選手権では15位に沈み、日本の出場枠は1に。惨敗を受けてステップワークの強化などに取り組んで臨んだ五輪シーズンは、日本男子として初めてグランプリファイナルの表彰台に立つが、肝心のトリノ五輪では8位入賞にとどまった。翌シーズンには、グランプリファイナル、世界選手権で日本人男子として最高位となる2位。’07‐’08シーズンは、ISU(国際スケート連盟)が認める世界最高得点を記録した。五輪での日本男子による初のメダル獲得の期待が高まる中で、五輪プレシーズンにケガで1シーズンを棒に振るが、リハビリと同時にフィジカル面を鍛えて復活。紆余曲折を経て、ついに日本のエースが日本初のメダル獲得に挑む。
浅田真央/フィギュアスケート
金メダル候補No.1の氷上のヒロイン
1990年9月25日、愛知県生まれ。中京大学所属。163p/50s。5歳でスケートを始めて、伊藤みどりを育てた山田満知子に師事。小学生で3回転‐3回転‐3回転のコンビネーションジャンプを跳んで、天才少女として脚光を浴びる。15歳となり、ジュニアクラスに参戦して世界ジュニア選手権、全日本ジュニア選手権に初出場初優勝。翌シーズンからはシニアの大会にも出場し、トリノ五輪の日本代表選考会を兼ねていた全日本選手権に初出場で2位となるが、出場資格の年齢を満たしていなかったため五輪出場はならず。’07年からは多くの金メダリストを育てたロシアのタチアナ・タラソワに師事し、得意のジャンプに加えにて表現力も身に付けた。’08年には世界選手権に優勝し、17歳で世界女王に。満を持して迎えた五輪シーズンは、序盤に不調で苦しむが、全日本選手権4連覇で輝きを取り戻し、ついに五輪初出場を決めた。五輪ではジュニア時代からのライバル、キム・ヨナ(韓国)との対決を制しての金メダル獲得に期待が集まる。
チーム青森/カーリング
カーリング人気再び! "クリスタル・ジャパン"が輝く!
ソルトレークシティー五輪に出場した「シムソンズ」の小野寺歩、林弓枝を中心に結成される。両名に目黒萌絵、寺田桜子、本橋麻里が加わり、出場したトリノ五輪では10チーム中7位。結果以上に健闘ぶりが光り、注目を集めた。個人が選出されて代表チームを組むサッカーなどと違い、カーリングではチーム単位で代表に選出されるためチーム青森は連続出場となるが、メンバーは入れ替わっている。トリノ五輪後、第一線を退いた小野寺、林、寺田に替わってチームに加わったのは、世界と戦うために選ばれた石崎琴美、山浦麻葉、近江谷杏菜。特に近江谷は、長野五輪に出場して、かつシムソンズのコーチを務めた近江谷好幸を父に持つカーリング界のサラブレッド。若干20歳ながらレギュラーを獲得し、貴重な戦力となる。’08年の世界選手権では4位になるなど、世界の強豪との距離は確実に縮まっている。トリノ五輪では結果が伴わなかったが、新たに得た愛称「クリスタル・ジャパン」の名の通り、バンクーバーの地では輝ける活躍が期待できる。
加藤条治/スピードスケート
500mでのメダルを狙う氷上のスプリンター
1985年2月6日、山形県生まれ。日本電産サンキョー所属。164p/60s。日本代表のスピードスケーターの多くが北海道、長野県出身の中にあって、山形県出身かつショートトラックから転向してきた異色のスケーターで500mのスペシャリスト。スピードスケートよりもカーブが急なショートトラックで培った世界屈指のカーブワークを武器に、’03年にジュニアの500mで世界新記録をマーク。’05年にはシニアの世界記録も更新した。世界記録保持者として、優勝候補の一角として臨んだトリノ五輪では6位に終わる。トリノ五輪後、世界記録も更新されて、浮き沈みもあったが、世界のトップスケーターであることには変わりはない。今季のW杯好調のイ・カンソク、イ・ギュヒョクの韓国勢が強敵になるが、世界のトップ選手の力は拮抗している。勝負のカギはスタートになり、五輪では500mのみに絞っているだけに確実にスタートを決めて、表彰台に立ちたい。
高木美帆/スピードスケート
スケート界に彗星の如く現れたスーパー中学生
1994年5月22日、北海道生まれ。札内中学校所属。162p/57s。’09年末に行われたバンクーバー五輪代表選考会にて、1000mで3位、1500mは優勝、3000mで3位となり、スピードスケート史上最年少となる15歳、中学生での日本代表入り。バンクーバー五輪では、1000m、1500m、チームパシュートに出場する。スケート関係者の間では、’14年のソチ五輪の星として期待されていたが、予想外の急成長で一般にも名が知れ渡ることに。また、彼女に期待しているのはスケート関係者のみではない。サッカーでも全国の有望選手が集められる合宿に召集される腕前で、未来のなでしこジャパン(サッカー女子日本代表)候補としてサッカー関係者の注目を集める存在。スケート連盟の会長・橋本聖子は、スピードスケートと自転車で冬季と夏季の五輪に出場したが、高木はスピードスケートとサッカーで出場する可能性を秘める。まずはバンクーバー五輪での入賞が現実的な目標となり、チームパシュートではメダルも狙える。
青野令/スノーボード
五輪制覇で名実ともに世界王者を目指す!
1990年5月15日、愛媛県生まれ。松山大学所属。164p/58s。温暖な愛媛県で生まれ育ち、屋内スキー場でスノーボードの腕を磨いた類まれなるスノーボーダー。’04年、’05年にはJOCジュニアオリンピック優勝。15歳で出場したシニアの大会に優勝して、日本代表入り。’06‐’07シーズンには、日本男子初となるW杯ハーフパイプ総合優勝。’09年には世界選手権も制して世界王者となった。ただし、トリノ五輪の金メダリストのショーン・ホワイト(アメリカ)ら、高額賞金大会の]ゲームズを主戦場とするスノーボーダーはW杯、世界選手権に出場していない。]ゲームズ勢も五輪には出場するため、五輪が真の世界王者決定戦となる。青野は持ち前の高く跳ぶトリックを武器に、真の世界一を目指す。また、温暖な地域出身の青野が活躍することで、冬季競技に馴染みが薄い地域の人たちに冬季五輪の魅力が伝わることも期待される。
皆川賢太郎/アルペンスキー
0.03秒の壁を超えた先にはメダルがある
1977年5月17日、新潟県生まれ。竹村総合設備所属。173p/82s。大学在学時に長野五輪に出場して以来、五輪には3大会連続出場している日本のトップアルペンレーサー。アルペン選手としては小柄ながら、巧みなターン技術に加えて、用具に積極的に新技術を取り入れる研究熱心さで世界と戦う。一方で度々の大ケガに見舞われてもケガと戦いながら、その都度復活している。前回大会のトリノ五輪の男子回転では、3位と0.03秒差の4位入賞。日本選手として50年ぶりの快挙だが、それ以上に悔しさが残ったはず。4大会目のバンクーバー五輪で雪辱を期す。今季は調子が上がらずに、世界ランク上位の選手に与えられる有利な滑走順は得られないが、逆に考えれば攻めの滑りをするしかない状況で思いっきり勝負できる。男子回転の実施日は大会の終盤となり、すでに競技を終えている妻の上村愛子も応援に駆け付けるはず。夫婦メダリスト誕生で大会を締めくくりたい。
キム・ヨナ/フィギュアスケート
韓国初のフィギュア金メダルを目指す国民的アイドル
1990年9月5日、韓国生まれ。高麗大学所属。164p/47s。フィギュアスケートの強豪国と言えない韓国から誕生した世界女王。韓国では「国民の妹」と呼ばれるほどの国民的な人気を誇り、アメリカのフォーブス誌では「韓国で最も影響力のある有名人」に選出されている。日本の浅田真央とは同年齢ということもあり、ジュニア時代から良きライバル関係にある。’07‐’08シーズンには、ISU(国際スケート連盟)が認める歴代最高得点をマーク。翌シーズンには、世界選手権を制覇する。五輪シーズンの今季は自身が持つ歴代最高得点を更新し、出場した3大会すべてで勝利して優勝候補の大本命に挙げられる。リスクの高いトリプルアクセルに果敢に挑戦する浅田に対して、キムは自分が出来る技を磨きあげて完成度の高さで勝負するタイプだけにミスも少ない。勝敗の分かれ目は、浅田のトリプルアクセルの成否にあるだろう。