高松市の国道フェリーと四国フェリーの2社は12日、高松―宇野(岡山県玉野市)航路の廃止届を四国運輸局に提出した。高速道路料金の割引や景気低迷で経営環境の改善が見込めないため。廃止は3月26日の予定。
同航路は旧国鉄が1910年6月に「宇高連絡船」の運航を始めて以来、88年4月に瀬戸大橋が開通するまで、四国と本州を結ぶ主要な交通手段だった。直島(香川県)経由の航路は残るが、直通航路は100年の歴史に幕を閉じる。
同航路のフェリーは61年から就航。四国運輸局によると、輸送実績は87年度にピークを迎え、フェリーだけで1日に148往復(平日)、年間で旅客約400万人、車両約187万台を運んだ。
しかし近年、高速道路料金の時間帯割引で車両輸送が減り、原油高による燃料代の高騰がフェリー会社の経営を圧迫。さらに、昨年3月から始まった土日祝日の高速道路料金を上限千円とする割引で、マイカーの利用が激減した。
2009年4〜12月の旅客は約68万人(速報値)にとどまるほど低迷。2社は減便や共同運航など廃止以外の選択肢も検討したが、それでも営業が成り立たないと判断した。
四国運輸局の推計では、通勤や通学、通院などで同航路を利用する人は約3100人。また、クレーンなど大型の機械製品はフェリー輸送に依存しているため、同航路廃止の影響は大きい。
国道フェリーの山下周市社長は記者団に対し「地域の足として使命感を持ってやってきたが、近く高速道路が無料となる中で自助努力の限界が来た」と無念そうに述べた。四国フェリーの堀川智司専務は「慈善事業ではないので赤字続きではやっていけない。高速道路の値下げに到底太刀打ちできない」と話した。
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