2010-02-13
徹底検証 唐沢俊一追討日記 その3 太田竜
無礼千万追討記事、「とりあえず」三つ目
唐沢俊一がこの日訃報が告げられた人物が複数なのを受けて、こう書いたことは一昨日のエントリにも書いた。
舞台やっている間に訃報いくつも。とりあえず、このお三方。
その「とりあえず」の三人目として挙げられているのは、太田竜である。
そしてドラゴン太田竜氏、腹膜炎にて19日死去、78歳。
いろいろなカタガキを持った人だったが、取りまとめていうと“アジテーター”だったのだろう。共産党員から極左への転向、北海道でアイヌ革命論を唱えて爆弾テロなどを起し(アイヌ民族たちは迷惑極まりないと怒っていたが)その後自然食運動に興味を移し、やがて『日本みどりの党』を立ち上げてエコロジー運動のさきがけみたいなことをしたが過激ぶりは変わらず、家畜制度全廃を主張し、肉食はするなと唱え、さらには人類独裁を廃し万類共存せよ、みみずやおけらやゴキブリの権利を認めよと凄まじいことを言い出し、その思想のよりどころとして日本神道を絶賛し、その日本精神を破壊しようとする元凶としてユダヤ・フリーメイソンを槍玉にあげ、それではパンチが足りないと思ったか、なんとその裏側に爬虫類人(レプティリアン)なるスタートレックみたいな存在をデーヴィッド・アイクの著作から引き、人類に危機を呼びかけていた。
生涯一トンデモ、というイメージがあるが、もともと共産主義に入ったあたりで、戦時中に堂々とそれを主張してクラスでリンチにあったという体験から、
「体制に反逆することを主張する」
快感に目覚めてしまったのではないかと思う。陰謀論というのは、世間一般の大衆を
「陰謀に気付きもしないバカ」
と決めつけられる、極めて快感度の高い主張なのである。そして、その快感度は己れの主張が孤高であればあるほど高まる。反米くらいだったら信じる人間も多いだろうが、反爬虫類人となると、いくら陰謀論好きであってもちょっとついていけず、太田氏はそれを唱えている限り知的開明者の先頭に立てるのである。あの、われわれから見れば充分にトンデモであるベンジャミン・フルフォード氏(太田氏と共著もある)さえ、太田氏の突出にはついていけず、太田氏から“イルミナティの走狗”と断じられてしまった。
太田氏が晩年に出版したユダヤ・フリーメイソン弾劾の金太郎飴みたいな毎度々々同じの論考である書籍を読み、
「これらはみな、世界を支配しようとする悪魔教(フリーメイソン)の陰謀なのである」
というフレーズが出てくるたびに、そんな、世界一の大国アメリカの大統領までをも(オバマももちろん悪魔教の一員として弾劾されている)支配している強大な組織が、なぜいまだに世界を支配できていないのか、気になって仕方がなかった。まあ、太田氏に言わせればそれは悪魔の西欧文明に抵抗できる唯一の日本縄文神道がこの世にあるから、ということなのだろうが、太田氏自身言う通り今現代の日本人は西欧文明とその象徴の家畜制度に骨の髄まで毒されているのだから、いくらなんでももう征服されて、滅亡させられていてもいいのではないのか、そのチャンスはいくらもあったのではないのか、と
思うのである。
ご本人に実際に会うと、極めて温厚な紳士であったということだが、ペンやマイクを握ると別人格にスイッチングしてしまうらしかった。言っていることのトンデモさは別にすれば、思想家として、生涯変わらず体制、常識、事なかれ的主義に反抗の態度を示し続けたということは賞賛に値する。ここらは奇しくも日を近くして亡くなった忌野清志郎氏のロッカー精神に似ているかもしれない。彼も太田氏同じく西洋医学を嫌い、マクロビオティックでガンと戦おうとして結局ガン死を遂げた。これに批判的な週刊新潮の記事でさえも、その行動そのものはロッカーにふさわしい、と賞賛している。太田竜氏もまさに、思想界のロケンローラーであったのだろう。
そう言えば頼近美智子氏の不幸の要因となったのは先にも述べた春雄氏の急死だが、その裏には、姑の鹿内英子が西洋医学を嫌い、祈祷や漢方だけで息子の病気(B型肝炎)を直そうとしたためという理由があった。忌野清志郎といい太田竜といい、何やらその死に一本、奇妙な糸がつながっているような気がする。
この追討記事に関しては、既にトンデモない一行知識さんが「似ているようで違う――太田竜と哭きの竜」で触れているので、そちらも参照して下さい。
共産党員から極左への転向って、一般的に「転向」とは、「思想的政治的立場・信念を変えること。特に、社会主義者・共産主義者が弾圧によってその立場を放棄し、他の立場に転換すること」(大辞林)を言うのだ。より過激な左翼思想に変わることを、転向とは言わないだろう(異論は「トンデモない一行知識」を参照)。
「アイヌ民族たち」というのもすわりの悪い言葉だねえ。鮪漁が規制されて「日本民族たち」は迷惑に思うなんて書くか? 「日本人」「日本民族」でいい。
「みみずやおけらやゴキブリの権利」の主張に、呉智英が「微生物差別廃止というので、味噌や納豆の廃止を唱えるようになる」と揶揄したことは知らないのかな。さらに太田竜には『UFO原理と宇宙文明』(日経企画出版局 1990)という、「と学会」員なら垂涎のトンデモ本があるのだが、それにも触れず、もっぱらWikipediaから仕入れた知識でお茶を濁している。
で。やめておけばいいものを、再び忌野清志郎に関してのガセを書いている。
「これに批判的な週刊新潮の記事でさえも、その行動そのものはロッカーにふさわしい、と賞賛している」 ほほう、そうかね。週刊新潮のような三流塵週刊誌が賞賛したってなんの意味もないだろうよ、お前みたいな馬鹿にコメントを求めるような糞週刊誌の賞賛なんか。
自然食運動の推進者で腹膜炎で死亡した太田竜と、祈祷・漢方で肝炎治療を試み亡くなった鹿内春雄と、最期まで唄い続けるために手術を拒否し、抗癌剤治療の末に亡くなった忌野清志郎との間に、奇妙な糸がつながっているような気がする馬鹿は、お前一人だよ。
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