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足利事件再審 支援者ら「満足のいく無罪判決を」

 昨年6月に釈放されて8か月。菅家利和さん(63)は再審公判では毎回発言を求め、思いの丈を述べてきた。

 10月の初公判では、罪状認否で「私は殺してない。真実を明らかにしてほしい」と真相解明を求めた。取り調べを担当した森川大司元検事と対峙(たいじ)した1月の第5回公判では「17年半、無実の罪で捕まった。私の立場と逆に考えて謝って」と問いつめた。

 菅家さんは閉廷間際にいきなり手を挙げ、裁判長が発言を認めないうちに話し出すこともあったが、裁判長は発言を遮ることは1度もなかった。弁護団の渋川孝夫弁護士は、「大事なのは判決の中身だが、これまでの審理では、裁判長からは、菅家さんに対し、冤罪(えんざい)被害者だという配慮が感じられた」と話す。

 1審から菅家さんを見守り続けてきた「菅家さんを支える会・栃木」代表の西巻糸子さん(60)は、再審公判での菅家さんの積極的な姿を、「自分の意見を言うようになり、殻を破れるようになった」と見ている。「1審の頃は、引っ込み思案で、支援者にも本音を言えなかった。今では何でも話してくれるようになったことがうれしい」。12日は、西巻さんが運転する車で足利から一緒に宇都宮地裁に来た。西巻さんによると、幼稚園のバス運転手を務めていた菅家さんは昔を思い出した様子で「雪道では車間距離を空けて、ブレーキは早めに踏まないと」などと話しかけてきたという。そんな様子に西巻さんは「周りを気遣う余裕も出てきたようです」とうれしそうだ。

 菅家さんは再審の合間を縫って、全国各地で冤罪(えんざい)防止を訴え遊説するなど多忙な日々を過ごし、体重は釈放時の52キロから48キロに減った。「疲れは残っている」というが、12月に足利に戻り、支援者らと同市内の山に登るなど、少しずつ失った時間を取り戻しつつある。今春以降、市の臨時職員として働くことも決まっている。

 いよいよ3月26日には菅家さんに無罪判決が言い渡される。西巻さんは「菅家さんの本当の自由は裁判が終わってから」と言う。「満足のいく無罪判決をもらい、新しい人生の一歩を踏み出してほしい」と期待した。

2010年2月13日  読売新聞)
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