運賃の継続申請を却下された初乗り2キロ500円の「ワンコインタクシー」を走らせている新金岡交通(堺市北区、41台)が、初乗り1キロ320円として営業を続ける方針であることがわかった。12日にも近畿運輸局の担当者と協議する。トレードマークの「500円」と書かれた円形のあんどんの使用はあきらめ、デザインを一新する予定だ。
同社が現在の初乗り500円で営業できるのは15日まで。このため、審査を受けなくても運賃認可が下りる「自動認可運賃」(640〜660円)に基づき、いったん値上げすることにした。その際、既存のタクシー会社と差別化を図るため、近距離の客が利用しやすいように1キロ320円からスタート。250メートルごとに80円上がるため、2キロ乗れば640円となり自動認可運賃に準じた範囲内に収まる仕組みだ。1キロから初乗り料金が始まる方式は、大阪や岡山の一部のタクシーでもすでに採用されているという。同社の北野比登志社長は「新しい客層を囲い込めれば」と話す。
あんどんやメーターの付け替え作業などに時間がかかるため、同運輸局は2週間ほど「500円」の継続期限に猶予を与える可能性もある。
新金岡交通はその一方で、申請却下の取り消しなどを近畿運輸局に求めて裁判を起こす考えだ。
同じく初乗り500円の継続が認められず、「590〜660円が妥当」との通知を受けたワンコインタクシー敷津(大阪市浪速区、36台)は、「ワンコイン」の名称が使えなくなるため、社名変更の検討に入った。(小河雅臣)