2010年2月12日 19時28分更新
岡山市にある国の史跡、千足古墳の内部で石の表面に刻まれた文様が破損しているのが見つかった問題で、12日、文化庁などの研究者が現地を訪れ、今後の保存方法を決めるための調査を行いました。
岡山市北区新庄下の千足古墳は5世紀後半につくられたと見られる前方後円墳で、石室の内部の石に「直弧文」と呼ばれる直線と曲線で描かれた文様が残る貴重な遺跡です。
去年10月、岡山大学が調査した際、この文様がはがれ落ちているのが見つかり、古墳を管理する岡山市が文化庁や奈良文化財研究所などの合わせて4人の専門家に原因の調査や今後の保存方法の検討を依頼しています。
これまでの調査で文様が描かれた石は長年、水に浸かっていたことがわかっていて、3回目となる12日の現地調査で専門家たちは内部の水の酸性度を調べたり、写真を撮ったりしていました。
去年も現地を確認した奈良文化財研究所の高妻洋成保存修復科学研究室長は「前回と比べて破損が進んでおらず、ほっとしている。それぞれの分野の観点で調査ができたので今後の保存方法について意見を出し合いたい」と話していました。
また、水分による石の変化を研究している東京文化財研究所の石ザキ武志博士は「石がどのくらいの期間、水に浸かっていたか、水位はどのように変わったか、さらに詳しく調べる必要があり、保存の作業には3年以上、かかると思う」と話していました。