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外科医も気になる「性器センサーと人口問題」

　「女性性器の快感センサーは解剖学的に2つあるとされている。1つはクリトリス、そしてもう一つは膣にある。センサーは進化の過程で必要とされたものだが、クリトリスを人為的に切除されると、女性はどこに性的快楽を求めることになると思う？」

　「はー、それは男性との…ですか」

 「そうだ。あと、もう1つ、2つのセンサーには快感の違いがあることを知ってるかね。ペニスは女性との性行為を完結するためのもので、自己中心的であり、さらに、自己完結型の欲求を満足する目的で存在する。相同器官であるクリトリスもその点で大きくは違わない」

 「膣の快感センサーはどうなんですか」

 「それは、大地なる母だよ。人類愛や母性愛をみたす快感が内在している」

 「へえー。男性を受け入れるのは人類愛を満たす快感。となると、アフリカの多くの民族で行われてきた女性への割礼は、女性を男性に従わせ、そして多くの子を生ませる一つの矯正目的の儀式ということですね」

 「ぼくは医者だ。事実と科学しかわからん。ただ、多くの少女が、割礼を受けて子どもをたくさん生むだろう。一方、自己完結型の快感のみを見出した女性は必ずしも男性を必要としないだろう」

　当時の私もこの話を聞いてなるほどとは思ったが、今となるととても納得できる。もっとも、前述のT先生の持論のうち、男女の性器の相同性については根拠のある話だが、割礼の目的と快感に関しては論理的ではあるが、想像の域を脱していない。ただ千年以上続いたとされる少女への割礼の儀式は、種を絶やさないための苦肉の策であったのかもしれないと思う。

　人口減少する先進国、人口爆発する途上国。将来、大きな新型の感染症のリスクが訪れるといわれる現代。われわれはどのように性を考え、どのように子どもを授かり、どのように子どもたちを導いていくべきかを、真剣に考える時期に来ているのではないかと思う。