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明石歩道橋事故 元副署長を初の強制起訴へ 検察審議決

2010年1月27日20時8分

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写真:神戸地裁に張り出された起訴議決の書類を見つめる遺族の下村誠治さん=27日午後7時、神戸地裁、諫山卓弥撮影神戸地裁に張り出された起訴議決の書類を見つめる遺族の下村誠治さん=27日午後7時、神戸地裁、諫山卓弥撮影

写真:事故が発生したJR朝霧駅側(手前)と大蔵海岸をつなぐ歩道橋=2001年7月、兵庫県明石市、朝日新聞社ヘリから事故が発生したJR朝霧駅側(手前)と大蔵海岸をつなぐ歩道橋=2001年7月、兵庫県明石市、朝日新聞社ヘリから

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 兵庫県明石市で2001年7月に11人が死亡、247人が負傷した歩道橋事故で、神戸第二検察審査会は27日、業務上過失致死傷容疑で書類送検され、神戸地検が4度にわたって不起訴処分とした明石署の榊和晄(さかき・かずあき)・元副署長(62)を起訴すべきだと議決したと公表した。同様の議決は、昨年5月に施行された改正検察審査会法のもとでは2度目。同法の規定に基づき、検察官ではなく裁判所が指定した弁護士が強制的に起訴する初めてのケースとなる。

 これまで起訴の権限は、公務員の職権乱用罪などについて裁判所が審判に付す決定(付審判決定)を除き検察官が独占してきた。市民から選ばれた審査員が検察官の不起訴処分を覆して容疑者を強制起訴する「起訴議決」と判断したことで、司法界は大きな転換点を迎えた。今回の起訴議決を受け、神戸地裁は兵庫県弁護士会の推薦を受け、指定弁護士を決める。

 審査会は27日付の議決で、「有罪か無罪かという検察官と同様の立場ではなく、市民感覚の視点から公開の裁判で事実関係と責任の所在を明らかにし、同様の重大事故の再発防止を望む点に置いた」と明記し、検察官との立場の違いを示した。

 事故では、元副署長の部下にあたる元明石署地域官(60)が業務上過失致死傷罪で起訴され、大阪高裁で有罪判決を受けて上告中。審査会は元副署長の責任について、元地域官が問われた「事故当日」の過失だけではなく、警備計画段階での過失についても検討すべきだと指摘。事故の約7カ月前のイベントでも同じ歩道橋で危険な混雑が生じていたうえ、元副署長は不十分な警備計画しか立てられていなかったことを認識できる状態にあり、事故の発生を予見できたと判断した。

 当日の過失については「ビデオカメラの映像や携帯電話などで現場の状況を十分に確認せず、警察官を出動させるなどの規制措置を怠った」と指摘。神戸地検が「元副署長が現場の状況を把握するのは困難で、刑事責任を問うことはできない」とした不起訴理由とは逆の結論を導いた。

 また、業務上過失致死傷罪の公訴時効(5年)については、昨年7月の「起訴相当議決」と同様に「元副署長と元地域官は同じ警察署内で直属の上司と部下の関係にあり、ともに事故を防ぐ注意義務を負っていた」として共犯関係を認定。元地域官の裁判が続いており、「共犯者の裁判中は時効が停止する」とした刑事訴訟法の規定に基づき時効は成立していないと判断した。

 同審査会は、ともに不起訴となった元副署長と元署長(故人)について法改正前にも、起訴すべきだと2度議決しており、元副署長は通算4度目の議決となる。検察審査会をめぐっては、JR宝塚線(福知山線)脱線事故で不起訴処分となったJR西日本の歴代3社長について、神戸第一検察審査会が改正検察審査会法に基づき、起訴すべきかどうか最終的に判断する「第2段階の審査」に入っている。

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