自然を征服し繁栄を極めていた人類だったが、「火の7日間」とよばれる世界戦争で産業文明は崩壊した。
それから1000年の後、大地は「腐海(ふかい)」とよばれる有毒の瘴気(しょうき)を発する巨大な王蟲(オーム)たちの住む森に覆われていた。人類は蟲たちと敵対しながら、わずかに残った土地に王国を建設して暮らしており、海からの風により瘴気から守られている小国・風の谷もそのひとつだった。風の谷の族長ジルの娘ナウシカは、鳥のように愛機メーヴェにまたがり、人々が忌み嫌う巨大な蟲・王蟲たちとも心をかよわせることのできる不思議な力を持っていた。
強風吹き荒れるある夜、風の谷に巨大な輸送機が墜落した。その輸送機には工房都市国家ペジテの市民が捕虜として乗せられていた。ナウシカは墜落現場からペジテの少女ラステルを救出しようとしたが、彼女は「積荷を燃やすように」とナウシカに頼むとそのまま息を引き取ってしまった。ラステルが最後に口にした言葉“積荷”とは、「火の7日間」で世界を焼き尽くしたという最終兵器・巨神兵を指していた。化石になったはずの巨神兵がペジテから掘り出されたことを知った西方の一大勢力国家・トルメキア王国がこれを奪い取り、自国へ輸送中に風の谷に墜落したのだった。
墜落を知ったトルメキアの皇女クシャナは風の谷に大編隊を送り込み、ジルを殺害した。父の亡骸を前にこの上ない怒り燃えるナウシカ。しかし、腐海の謎を解くべく半生を費やして旅を続ける、腐海一の剣の使い手ユパ・ミラルダの「落ちつけ、ナウシカ。今戦えば谷の者は皆殺しになるだろう」という言葉に従い、ナウシカは自ら人質となって谷の人々を救う決心をする。ナウシカは谷を離れる前に、城内にある自身の部屋の隠れ階段を降り、地下深くに隠されたとある場所へ向かった。そこは、地上では想像もつかない澄んだ水と植物の楽園だった。そう、ナウシカは腐海の謎に迫りつつあったのだ。
人質となったナウシカを乗せたトルメキア船は飛行中、双子の妹をトルメキアにさらわれ復讐に燃えるペジテのアスベルのガン・シップに襲撃され、船ごと瘴気に包まれた腐海へと墜落してしまう。ナウシカはとっさに船に積まれていたガン・シップに飛び乗り、憎むべき敵・クシャナを救出して腐海の湖に着水した……すると突然、水面から巨大な王蟲たちが姿をあらわした。蟲たちから、アスベルが生きて腐海を彷徨っていることを知らされたナウシカは、驚愕のあまり呆然自失するクシャナをその場に残し、アスベル救出に向かった。絶妙のタイミングで腐海を彷徨い、巨大ヘビに呑みこまれそうになっていたアスベルを救ったナウシカは、そこで偶然にも腐海の秘密を知ることとなる――。
ペジテに戻ったナウシカとアスベルは、ペジテ市長からトルメキア群を壊滅させるため、蟲に風の谷を襲わせる計画があることを知らされる。自分の谷を襲わせるわけにはいかず、さらに腐海の底で蟲の役目を知った二人はこの計画に猛反対したため、ナウシカはそのまま食糧庫に閉じ込められてしまう。絶体絶命のピンチに陥ったナウシカだったが、アスベルの母に助けられ、アスベルとともに風の谷へと急いだ。
しかし、ペジテ軍はすでに行動を開始していた。ペジテ軍は瀕死の王蟲の子を飛行機に吊るして王蟲を挑発。怒りのために目を真紅に輝かせた何千・何万の王蟲の大群がこの飛行機を目がけてばく進していた。その機が行きつく先は風の谷だった。
一方、トルメキア群とクシャナは風の谷で攻撃態勢に入っていた。しかし、迫りくる王蟲の群れに危機感を抱いたクシャナは、巨神兵を使って王蟲たちを一掃する決断を下していた。すべてを解決するには王蟲の怒りを静めるしかない。
「王蟲の子を殺したら暴走は止まらないわ。群れに帰すの。私やってみる!!」
ナウシカはひとり命をかけて、王蟲たちの怒りを静めようとするのだった……。