十勝毎日新聞社ニュース
石川議員離党 民主十勝困惑
影響力低下は必至
衆院補選も現実味
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の政治資金規正法違反事件で起訴された衆院議員、石川知裕被告が11日に離党したことで、十勝の民主党や支援者の間に困惑が広がっている。石川議員は無所属で議員活動を継続するが、政権与党からの離脱で影響力の低下は避けられない情勢。野党の議員辞職要求の動向や世論の風向きで辞職論の再燃が懸念され、裁判の判決次第では早期失職の観測もくすぶる。「年内の衆院補選」をにらんだ駆け引きが水面下で始まっている。
記者会見で離党を表明した石川知裕議員(11日午後6時40分ごろ、塩原真撮影)
石川議員の離党で同党十勝の代表ポストは空席に。池本柳次代表代行は「十勝の案件は本人が国会で質問する」とし将来的な復党も視野に支える姿勢を強調、近く石川議員を励ます大規模集会を開く。
ただ無所属での活動には不安もただよう。ある支援者は「実態に乏しかった後援会は昨年の衆院選で軌道に乗ったばかり。出直しが可能なのか分からない」とする。
保守系の政治関係者は「十勝の窓口の代議士が政権与党から離脱し無所属になるのだから影響力の低下は不可避。2期目の議員が無所属のまま影響力を維持するのも困難」と語る。
このような状況下で、くすぶり続けているのが「衆院補選」の観測。石川議員が3月15日までに辞職・失職すれば、道11区(十勝)の補選は4月に実施。3月16日以降、通常国会の会期末(延長がなければ6月16日)までの辞職・失職なら、今年は参院選とのダブルになる。
石川議員は辞職を否定しているが、辞職勧告決議案の採決などを求める野党は一斉に反発。民主党内にも離党だけで世論の理解を得られるのか危ぶむ声が出ている。
石川議員に近い筋は「民主の態勢が整わない4月補選を避けるため3月15日までの辞職はないが、それ以降は分からない。本人は罪を認めているので公判も長期化しないだろう。早晩、補選の可能性は否定できない」と漏らす。
中央で連立を組む社民党の関係者は「民主党の所属だから石川議員を支持した有権者も多い。離党でその前提が崩れた。結果的に辞職することになっても仕方がない」と距離を置く。
自民党サイドは石川議員の動向を注視、今期で引退する中川義雄参院議員などが中心になり、故・中川昭一氏の後継擁立を加速させる構え。民主サイドには、同党十勝代表代行の池本柳次道議の「ワンポイント登板」などが、まことしやかに流れている。
政治関係者が「離党の次」としてポイントに挙げるのが4月補選の境目となる「3月15日」。「11区は補選に向けて実質的に動き出している」というのが、一般的な見方だ。
「無念、申し訳ない」
石川議員帯広で会見 無所属で活動
石川知裕議員は11日午後6時40分、帯広市内のとかち館で記者会見し、同日午後に党本部に離党届を提出したことを明らかにした。離党の理由として「予算案審議の最中で党に迷惑をかけてはいけない」と説明した。「地域や国のために尽くしたいという私の初心、信じて応援して下さる地元の思いを受け止めて職責を全うしたい」と語り、議員辞職はせず当面は無所属で活動する考えを示した。
石川議員は11日午前に離党を決意し、地元への説明のため急きょ帯広入り。離党届は党道連の三井辨雄代表を通じて小沢一郎幹事長に提出、受理された。小沢幹事長は「事務的ミス」とし、党として処分しない考えを示した。
石川議員は地元支援者の総意に反する決断を下したことに関して、「無念だし申し訳ない。後援会の集まりなどで反省とおわびを申し上げながら説明に努めたい」とした。
無所属での政治活動について「制限は出てくるが、有権者に頂いた負託を果たせるだけの活動は可能」とした。約15分間の会見の冒頭は緊張した表情だったが、報道陣の問いに笑顔で答える場面もあった。
会見には民主党の松木謙公衆院議員(道12区)が同行。約80人の地元支援者らが見守った。石川議員は、とかち帯広空港発の最終便で再び上京した。(岩城由彦)
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