救急病院の医師の事務負担軽減のため、県は10年度から、病院で事務作業をする「医療クラーク」の人件費を支援する。国も08年度から医療クラークを導入して間もない病院に診療報酬を加算していて、10年度の診療報酬改定でさらに加算幅を拡大する方針。国によると、県が独自に医療クラークの人件費を補助するのは珍しい。【西田真季子】
「医療クラーク」はカルテの管理や書類作成などで医師を補助する。県によると、医療現場はここ数年、電子カルテの導入や保険会社への書類作成などで事務作業が増え、残業を強いられる医師が多い。特に医師不足が問題になっている救急病院では、こうした事務作業の増大が負担に拍車をかけている。
県が補助するのは10、11年度に約200人分。1人分は、月約20万円を6カ月間。ふるさと雇用再生特別基金を活用する。
医療クラークを15人雇用した埼玉県済生会栗橋病院(栗橋町)は、医師の残業時間が前年より月129時間減ったという。病院によると、常勤医の87%(34人)が「残業が減り、仕事が楽になった」と歓迎している。
埼玉は08年12月時点で人口10万人当たりの医師数が139・9人と全国最少だった。県の担当者は「救急現場で医師をすぐに増やすことは難しいが、医療クラークの採用を促すことで医師の負担を軽減したい」と話している。
毎日新聞 2010年2月12日 地方版