韓国 2010年2月12日(金曜日)
NAND業界危機、スマートフォンで韓国離れ[IT]
これまで独走を続けてきた韓国のNAND(データ保存)型フラッシュメモリー業界に危機が訪れている。米アップルなどをはじめとするスマートフォンメーカーの間で、データ読み書き速度の速い日系メーカーの製品を採用する風潮が強まっているためだ。半導体業界での日韓の競争が再び激化しつつある。
市場調査会社の米アイサプライによると、昨年第4四半期(10〜12月)におけるNAND型フラッシュメモリー市場でのシェアは、サムスン電子が38.2%だったのに対し、東芝(サンディスクを含む)は36.3%だった。
2006年の両社のシェアを見ると、アップルの携帯音楽プレーヤー(MP3)「iPod」などに後押しされたサムスンが45.4%を占め、東芝の26.1%を2倍近く上回っていたが、ここに来て大きく差が縮まった形だ。また、ハイニックス半導体のシェアも、06年の17.7%から、昨年第4四半期には10.1%にまで落ち込んでいる。
韓国メーカーの落ち込みの背景には、韓国製に比べてデータ読み書き速度が速い日系製品を採用するメーカーが、スマートフォンなどポータブル電子機器業界で増加していることがある。
これを受け、韓国メーカーの間では危機感が広がり始めている。
NAND型フラッシュは、90年代以降に大きな成長を遂げたサムスン電子の陰の立役者とも言われる韓国メーカーの主力製品。NAND型フラッシュ分野での競争力低下は、近年、半導体業界で独走を続けていた韓国メーカーに、再び日系メーカーに取って代わられるのではとの不安材料を提示している。
■技術力の差が縮小
また、韓国メーカーが強みとしていた技術分野でも、競合各社との差が縮小していることが不安要素の一つとなっている。今月2日には、業界4〜5位の米マイクロンとインテルが韓国メーカーより先に、20ナノメートル(ナノは10億分の1)工程を用いてのNAND型フラッシュ開発に成功しているなど、危機的状況に拍車をかけている。
東芝をはじめとする日系の半導体メーカーは好調な売れ行きを受け、すでにNAND型フラッシュ分野への投資拡大の動きもみせている。このため韓国の半導体業界では、「生半可な対応では、韓国の独走状態に終止符を打つことになってしまう」と懸念する声が飛び交っている。
■市場は32%拡大
一方、NAND型フラッシュ市場は昨年、32%増の136億2,300万米ドル(約1兆2,263億円)に拡大し、パソコン(PC)需要の安定から伸びが鈍化しているDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)市場(211億9,300万米ドル、20%増)の70%水準にまで達している。
NAND型フラッシュが主に使用されるスマートフォン市場も、昨年の9億1,200万米ドルから、今年は144%増の22億2,700万米ドル、来年は53%増の34億100万米ドル規模に急拡大するとみられており、需要は今後も増す見通しだ。韓国経済新聞が伝えた。