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【さらば革命的世代】第3部(11)還暦過ぎても革命家…彼はラーメンをすすっていた (3/4ページ)
「彼女を権力と闘って虐殺された悲劇のヒロインだとし、革命のためには死もやむをえないという発想を植えつけてしまった。それがねじれて、革命のためなら、最終的には人を殺すことも仕方がない、内ゲバも仕方がないという考えが生まれてしまったのではないか」
■公安関係者のつぶやき
セクトの中には、今も存続して「過激派」と呼ばれながら活動を続けているところがある。公安関係者によれば、拠点施設の賃貸料や機関紙を発行する費用は現役活動家によるアルバイト収入もあるが、一部は一般企業などに入った元活動家たちのカンパだという。
表面上は、新左翼運動とは縁を切ったように見えても、旧知の仲間から頼まれると、断れないこともあるのだろう。この公安関係者は「政治運動を途中で投げ出した負い目もあるのではないか」と話した。
連載第3部では、全共闘運動にかかわった人たちの実像を多角的に見つめようと試みた。学生運動に参加した人たちの動機は「ベトナム反戦」から「女の子にもてたい」まで十人十色だった。適当な気持ちだった人もいれば、命がけだった人もいた。そこには一人ひとりの物語があった。
一方で、還暦を過ぎても、いまだ最前線で活動を続けセクトのメンバーもいる。別の公安関係者は、彼らの拠点に乗り込んだとき、かつて長髪をなびかせていた活動家が、はげ頭になっていたのを見つけたという。ちょうど、事務所でカップラーメンをすすっていた。公安関係者は涙がでそうになったという。
「彼は一流大学の出身だったし、企業に入っていれば出世していたかもしれないが、その可能性を捨てて活動を続けた。思想には全く共感できないが、回りに流されずに自分の信じる道を進んだ彼を見ていると込み上げるものがあった。中途半端な気持ちでこっそりカンパを払っている者よりも、よっぽど筋が通っているとも思えた」
(第3部終わり)
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