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【さらば革命的世代】第2部(6)京大応援団長の青春 対立の果てに見たもの (1/4ページ)
このニュースのトピックス:さらば革命的世代
新入部員ゼロ
昭和44年1月の安田講堂事件を受けて、この年、東京大学の入試は中止になった。最難関は京都大学。東大志願者は浪人して再び東大を目指すか、進路を変えるか悩み、受験界を巻き込む大混乱になった。
その新入生たちが入学した4月、京大2年に進級した阿辻豊さん(59)はあぜんとした。後の京大応援団長である。「やっと後輩ができる」。そう思っていた矢先に、新入部員が1人も入らなかったからだ。
「反体制こそがすべて」という時代のムードもあり、体育会系で体制側の臭いがする応援団は敬遠されたのだろう。とはいえ、部員ゼロは部の存廃にかかわる重大事である。阿辻さんは新入生をつかまえては勧誘したが、無駄だった。
大阪府立北野高校から1浪後、京大法学部に入学した阿辻さんは、高校時代も応援団に入っていたため、熱心な誘いを受けて大学でも同じ道に進んだ。全共闘学生らと対峙(たいじ)することも多かったが、衝突ばかりでもなかったという。
「全共闘の連中と飲みに行き、応援歌やインターナショナルを一緒に歌ったこともある。僕は思想的には三島由紀夫が好きだったけど、議論のためにとマルクスや吉本隆明も懸命に読んだものです」