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【さらば革命的世代】第2部(4)“弟”に悪いことをした。全学連世代の西部邁さん (3/4ページ)
このニュースのトピックス:さらば革命的世代
■団塊ではなく砂山
西部さんら全学連の象徴的な行動として語られるのが昭和35年6月15日の安保反対をめぐる国会構内への突入だ。デモ隊と警官隊がもみあいになる中で、東大文学部3年生の樺美智子さん=当時(22)=が死亡、その名前は安保のヒロインとして刻まれる。西部さんより一つ年上だった彼女は、西部さんが東大入学後に初めて参加したデモで、共産主義の歴史などを語ってくれた人でもあった。
樺さんが亡くなった日の統一行動には、全国各地で労働者らを含む約580万人が参加し、約11万人もが国会への請願デモを行ったという。それは、全共闘が学生中心の闘争だったのに対し、全学連が市民への広がりを持つ運動だったことを示す一つの数字でもある。
全共闘の高揚期、大学院生として研究生活に入っていた西部さんは「すでに好意も反発もなかった。野次馬としては、どんどんやれという感じで見ていた」と話すが、全共闘世代そのものについては批判的だ。
「彼らは団塊の世代といわれるが、僕は風がふけばすぐ形が変わる『砂山世代』だと思っている。革命を叫んでおきながら、エコノミックアニマルになったり、市民運動家になったり。雰囲気にあわせて姿かたちを変える世代だと思う。つまり典型的な『マス(大衆)』なんだよ」
一時はテレビの討論番組などに出演することが多かった西部さん。ある番組で、司会者から「樺さんは西部さんの恋人だったそうです」と冷やかされたことがある。西部さんは生放送中にもかかわらず激怒してその場を退席し、スタジオは騒然となった。
「もし、番組を樺さんのご遺族やその関係者が見ていたらどんな気分になるか。いたたまれなくなってああいう行動にでるしかなかったのです」
それもまた、西部さんなりの一つのけじめのつけ方だった。
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