[PR]
ニュース:事件 RSS feed
【さらば革命的世代】第2部(4)“弟”に悪いことをした。全学連世代の西部邁さん (2/4ページ)
このニュースのトピックス:さらば革命的世代
■スーパーエリート
西部さんの学生時代の大学進学率は8%程度。全共闘時代の15%からみても半分であり、大学進学者がより一層限られた時代だった。全共闘運動にもエリート層の反乱という側面はあったが、全学連運動は、それに輪をかけた「スーパーエリート」たちが起こした行動だったともいえる。
全学連には、後に中曽根内閣のブレーンとなる香山健一元学習院大教授(故人)や経済学者の青木昌彦スタンフォード大名誉教授(70)らもいた。西部さんを含め後に保守派に転じた人も少なくないが、全共闘世代に比べて、過去についてあけすけに語る人が多い。それは、スーパーエリートとして、一つの時代に対する責任を持っているからなのか。あるいは、自らの総括がきちんとできているからなのか。
マルクスについて「くだらない」と述べた西部さんは後者に近い。拘置所から出た西部さんはメンバーの前で、わざわざ「学生運動をやめる。戦線逃亡する」と宣言した。怒った仲間もいたが、「これから何をするんだ」と問われると、「勉強するよ」とだけ答え、その場を去ったという。
西部さんは当時の心境について「最前線でやった僕が法律的に裁判にかけられるということで、すでに帳尻は合っていた。だからやめた」と話し、その真意をこう述べた。
「例えば全共闘では、仲間が半身不随になったり、逮捕されて人生がめちゃくちゃになるようなことがあった。もし、自分が運動に引き入れた仲間がそのような立場になったら、僕は逆に運動を続けざるをえなくなっていたと思う。幸い僕が逮捕されたことで、組織も弱体化し、すべてが終わった。後はもう、自分の裁判の心配だけをしていればよかった」
このニュースの写真
関連ニュース
- 【さらば革命的世代】第2部(4)“弟”に悪いことをした。全学連世代の西部邁さん
- 【さらば革命的世代】第2部(3)機動隊員にも妻子がある 警察の方針転換
- 【さらば革命的世代】第2部(2)当初は理ありと感じた 佐々淳行さんが見た「象牙の塔」
- 【さらば革命的世代】第2部(1)機動隊員が見た許せぬ光景 バリケードの外から
- 【さらば革命的世代】(第1部総括)読者の声は…
- 【さらば革命的世代】(10)「過去を振り返れない人たち」
- 【さらば革命的世代】(9)日本のレーニンが知った労働
- 【さらば革命的世代】(8)ムラの弁護士の転向論
- 【さらば革命的世代】(7)カリスマ講師の“闘争”
- 【さらば革命的世代】(6)女子学生闘士の「その後」