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【さらば革命的世代】第2部(2)当初は理ありと感じた 佐々淳行さんが見た「象牙の塔」 (2/4ページ)
このニュースのトピックス:さらば革命的世代
「日大でね、秋田明大(日大全共闘議長)の演説に心を打たれてね…。言っているとおりだったんだよ。彼らの怒りは当たり前だったんだよ」
疑似戦争体験
昭和5年生まれで、全共闘世代とは一回り以上違う佐々さんは29年に東大法学部卒業後、現在の警察庁に入庁した。学生時代のキャンパスは、すでに25年の朝鮮戦争をきっかけに「左翼闘士」らが跋扈(ばっこ)していたが、佐々さん自身が運動に入ることはなかった。「国民の税金で勉強させてもらいながら何を偉そうに」という思いがあったからだ。
一方で、年の離れた弟のような全共闘学生に対しては一定の理解を示しつつも、「文明批評的にみると、昭和ヒトケタ生まれの自分たちと昭和20年代生まれの彼らの間には、埋めがたい世代間の亀裂があった」とも指摘する。
「戦前、戦中、戦後を死にものぐるいで生き残ったわれわれと比べ、彼らは、もの心ついたときには経済復興が済み、自由と平和が保障されていた。仮にすべての人間の深層心理に闘争本能というものが潜んでいるとするならば、彼らの行動は疑似戦争体験のようにも思えた」
激しい攻防となった安田講堂事件にしても、佐々さんによれば、逮捕された計633人の学生のうち東大生はわずか38人で全体のわずか6%。残りは他大学から駆けつけた「外人部隊」だった。東大全共闘のメンバーの多くは「勢力温存」を理由に学外に逃げ出していたという。
こうした見方をめぐっては全共闘OB側から反論もあるが、佐々さんは「まるで敵前逃亡だと思った。当事者でありながら、いざとなると日和る要領のよさと精神的なひ弱さも彼らの世代の特徴だ」と話し、次のように述べた。