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【さらば革命的世代】第2部(2)当初は理ありと感じた 佐々淳行さんが見た「象牙の塔」 (1/4ページ)
このニュースのトピックス:さらば革命的世代
ロッカーに2億円
「逮捕された全共闘メンバーの中には国会議員の息子さんや娘さん、警察の最高幹部の親戚なんて人もいた。特別扱いはしなかったが、親御さんはずいぶんお困りだったと思いますよ」
元内閣安全保障室長の佐々淳行さん(77)は学生運動の収拾に最前線であたった警察幹部の一人だ。昭和44年1月、警視庁警備1課長として38歳で安田講堂事件の攻防戦を指揮。47年の連合赤軍によるあさま山荘事件も担当するなど、警察側から見た歴史の証言者である。
意外にも思えるが、警察幹部らは当初、学生たちの行動に理解を示していたという。「反抗する学生さんにも言い分があるのではないか」。会議でそういった意見が出るほど、当時の大学の腐敗は傍目から見ても深刻だった。
まさに「象牙の塔」という言葉がぴったりで、官尊民卑や権威主義、官僚主義は当たり前。医学部教授は大名行列のように助教授や助手らをひきつれて回診し、無給助手が怒るのも無理はなかった。「アリストテレス以降は専門外で分かりません」と開きなおる政治学者もいた。
昭和43年春、日本大学の使途不明金問題が明らかになり、佐々さんもあきれかえる“事件”が起きた。不明金の捜査に絡む家宅捜索で、日大本部のロッカーから2億円もの札束が見つかった。ある教授の個人資産で、事情を聴くと学生に1点1万円で点数を売っていたと告白した。及第点に3点足りないと3万円。裏口入学の相場は800万円。そんな仕組みがまかり通っていたという。
佐々さんは「2億円なんて札束は初めて見た。洋服のロッカーがいっぱいになるぐらいだった。私だって義憤を感じた」と話し、今だからこそ話せる当時の正直な心境を吐露した。