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【さらば革命的世代】第2部(1)機動隊員が見た許せぬ光景 バリケードの外から (3/5ページ)
このニュースのトピックス:さらば革命的世代
一方で、当時の日本は高度成長期のまっただ中にあり、43年にはGNP(国民総生産)が初めて世界第2位となった。プロ野球巨人軍がV9を猛進し、後楽園や甲子園球場は常に満員。旅行やゴルフもブームになり、多くの人々は「昭和元禄」の時代を謳歌(おうか)していた。そうした中でバリケードにこもった学生たちは、周囲からどのような視線を向けられていたのか。
全共闘から「敵」と見なされていた機動隊では、投石などで死傷した隊員も少なくなかった。ある機動隊OBは「結局は、社会を知らないお坊ちゃまたちの闘争だった」と嫌悪感をあらわにする。同世代の“労働者”からみれば、全共闘運動は「恵まれた連中のお遊び」に映っていたかもしれない。
一方、別の元機動隊員は「『授業料値上げ反対』『大学の組織改革』なんていう言葉は自分も同調できた」とし、さらにこう述べた。「当初は世間も学生に好意的で、われわれが市民から罵声(ばせい)を浴びせられることもあった。ただ、運動が過激になるにつれ、彼らの味方は少なくなっていった。『大学改革』を叫ぶ者たちがなぜ、一足飛びに『世界革命』などと言い出すのか。その違和感は市民も感じ取っていたと思う」