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【さらば革命的世代】(10)「過去を振り返れない人たち」 (1/4ページ)
■遅れてきた闘士
「徒党を組むのが好きになれなかった。デモや集会に参加したことはあるが、観察に行ったような感じ。俗に言うノンポリですね」
早稲田大出身の元日本経済新聞記者で、日本経済研究センター主任研究員の大塚将司さん(57)。
大学へは学生運動が下火になりつつあった昭和44年に入学し、「全共闘世代」の中ではやや下の世代にあたる。
日経入社後は敏腕記者として活躍し、平成7年には東京三菱銀行の合併報道で新聞協会賞を受賞するなど輝かしい経歴を残した。
ただ、学生時代は同年代の闘士たちの行動を冷ややかに見ていたにもかかわらず、記者時代は日経の子会社で起きた不正経理問題で自社トップの責任を追及したことがきっかけで懲戒解雇(後に復職)された。
その行動は、大学当局の不正に迫った全共闘運動のイメージとも重なるが、経営陣と対峙する大塚さんを抑えようとしたのは、皮肉にも社内の全共闘世代だったという。
「彼らは直接は何も僕に言わなかった。立場もあるし、仕方がないとも思ったが、僕の行動に共鳴してくれた若い世代に、陰でこっそりと圧力をかけていたのはショックだった」
大塚さんも新人時代は、同僚でもある社内の全共闘世代とつきあうことが多かったが、酒席での話題はもっぱら全共闘の思い出話だった。
ノンポリ出身者をさげすみ、自分たちがいかに社会変革を考えていたのかを強調し、機動隊との衝突などを喜々として話す。
一方で、日経という資本主義の最前線を行く会社に自らが身を置いた理由については、口をつぐむものが多かった。
大塚さんは今回の連載について「全共闘世代を読み解くためには、1%のリーダーたちの話を聞いても本質は見えてこない」とした上で、こう指摘した。
「むしろ話を聞くべきは、リーダーではなかった99%の声ではないか。ただ、彼らは今や企業や社会の中枢にどっぷりと沈み、決して表に出てこなくなった」