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【さらば革命的世代】(8)ムラの弁護士の転向論 (3/4ページ)

2008.6.26 20:54
このニュースのトピックスさらば革命的世代
東大全共闘と機動隊の攻防戦で炎が上がる安田講堂前=昭和44年1月19日、東京大学東大全共闘と機動隊の攻防戦で炎が上がる安田講堂前=昭和44年1月19日、東京大学

 ■あの時代に戻れたら

 弁護士ゼロの明日香村に事務所を構えたのは昨年3月。

 全共闘時代の「大衆とともに生きる」という思想と「日本の伝統文化の源流の地」という、いわば「左」と「右」2つの理由からだった。

 村の弁護士として活動は地域密着型で、村民の相談には安価で応じる。

 一方で息長く続けるため、村民同士の係争は受け付けないとも決めている。

 以前に、弁護士仲間と同じ奈良県内で事務所を開いたときには、「貧しい人のために」と積極的に国選弁護人を引き受けながらも、「思想的な壁にぶつかった」。

 どちらが勝訴するにせよ、司法という制度自体が国家に権力発動を促す行為だと感じたからという。

 「今にして思えば、反権力や左翼のイデオロギーからはなかなか抜けきれなかったのだと思う。ただね、負けてしまった思想にいつまでもこだわらざるを得ないようになると、だれとも話が合わなくなる。逆に話ができる人がいたり、全共闘の同窓会というようなものがあったとしても絶対行かないですけどね」

 現在好きな作家は「日本人の伝統や生き方を考えさせられる司馬遼太郎」。

 好きな政治家は「自民党はダメなので小沢一郎」。

 築100年の古民家で、和服姿で六法を開く姿に「元左翼活動家」の面影は微塵(みじん)もないが、それでもかつての自分の行動が間違っていたとは決して思っていないという。

 むしろ「あの時代に戻れたら、また参加するかもしれない」とさえ言う。

 思想的には間違っていたとしても、あの運動自体は、若者たちが「私」ではなく「公」のために自己を犠牲にした闘いだったと強く思っているからだ。

 「僕は当時の学生たちの行動や勇気は歴史として語り継がれるべきだと思っている。この国がおかしくなったときに真っ先に声を上げなければならないのは次世代を担う学生たちだからだ。この先も自由で安全な社会が続くかどうかは分からない。再び学生が街頭で立ち上がらなくてはならない日がくるかもしれないのだ」

 現在、大学生になる息子たちには、そう訴えているという。

 (連載は毎週掲載します)

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東大全共闘と機動隊の攻防戦で炎が上がる安田講堂前=昭和44年1月19日、東京大学

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