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【さらば革命的世代】(7)カリスマ講師の“闘争” (2/4ページ)

2008.6.19 17:56
このニュースのトピックスさらば革命的世代
駿台予備学校で教鞭を執る表三郎氏駿台予備学校で教鞭を執る表三郎氏

 「あれが予兆だったのかと後で思った。『デモでは何も変わらない』と言って活動を先鋭化させた彼のやり方は間違っていた。それでも、人間的にはすばらしい男だった。なぜ赤軍に行かせてしまったのか悔やまれる」

 当時、奈良女子大の活動家だった妻と学生結婚していた表さんはツテを頼って予備校講師の口をすでに見つけていた。命じられた英作文担当に自信はなかったが「得意分野です」とハッタリをかました。以来40年近く。「食うために始めた」仕事はいつの間にか“天職”になっていた。

 

大学解体との矛盾

 学生運動の衰退後、活動家から予備校講師に転身した人は多い。同じ駿台では、全国全共闘議長で東大全共闘議長の山本義隆さん(66)が物理を担当。河合塾で現代文を教える牧野剛さん(62)も名古屋大のリーダーだった。

 逮捕歴などにより就職が難しかったという見方もあるが、あえて就職しなかったり、研究室に残らなかったというケースも少なくない。彼らの中には学生運動がなければ、超一級の学者になっていた人もいるという。予備校は、既存の道程を拒否した学生たちの受け皿でもあった。

 表さんは「予備校の講師はどんなレベルの生徒にも教えられる能力が必要だ」と訴えた上で、こう指摘する。「もともと予備校は大学教授たちがアルバイトで教えることが多かったが、彼らは専門バカだ。『それは専門じゃないので』などと言ってすぐに逃げる。だからこそ、私たちは全共闘運動で彼らにノーを突きつけた。既存のアカデミズムの中に逃げ込む連中と徹底的に討論したかった」

 だが、「大学解体」をスローガンに掲げた活動家たちが、若者をより偏差値の高い大学へと送り込む予備校講師をすることに矛盾はないのだろうか。表さんの答えは明快だった。

 「私が予備校で一生懸命教えるのは、大学をこれ以上ダメな場所にしたくないからだ。少しでも質の高い生徒を送り込むことで、大学を変えたいとずっと思っているんです」

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駿台予備学校で教壇に立つ表三郎氏
駿台予備学校で教鞭を執る表三郎氏

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