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【さらば革命的世代】(6)女子学生闘士の「その後」 (3/4ページ)

2008.6.12 22:01
このニュースのトピックスさらば革命的世代
元東大全共闘の近藤ゆり子さん元東大全共闘の近藤ゆり子さん

「逃げてきた」

 昭和47年春、近藤さんは東大を中退した。

 医療労働者の待遇改善闘争に参加する中で、自ら准看護師学校に入学するためだった。

 44年1月の安田講堂攻防戦から3年。キャンパスは平静さを取り戻し、就職を前にした男子学生たちが運動から手を引いていく中で、近藤さんは「学生運動」そのものに限界を感じ始めていた。

 一方で看護師学校の仲間からは次のように言われ、ショックを受けたという。

 「私たちはあなたとは違う。家族を養わねばならず、闘争によるリスクを背負えない。あなたもどうせ闘うのなら中途半端なことはやめてほしい」

 以降、「職業革命家」として左翼セクトに入り、在日朝鮮人の入管法反対闘争などでも活動した。

 逮捕や長期勾留も経験したが、「結局は、今いる地方都市に逃げてきた」。

 東大時代からの活動仲間だった夫の学習塾を手伝い、政治活動からはしばらく距離を置いた。

 夫婦水入らずの生活はそれなりに楽しかったが平成7年、立ち上がらざるをえなくなった。

 オウム真理教事件がきっかけだった。

 「人を殺すことを正しいとまで錯覚する感覚が新左翼の内ゲバの発想に似ているように感じた。私たちのしてきたことを自ら総括せねば、下の世代に何も残せないと思った」

 現在は憲法9条を守る活動やダム建設中止運動に携わる。

 “同志”だった夫は10年前、転落事故をきっかけに亡くなり、一人暮らしになった。

 自身も今年2月、乳がんのため胸の大手術を受けた。

 いつも和服を着ているのは「お金がないから」という理由と、手術跡を目立たなくするためだという。

 「『革命』という言葉で何を連想するかはさまざまですが、世直しは今もなお、よりいっそう必要です。『さらば』どころではないんです。でも私には病がある。そろそろ自分の人生を言語化すべきときかもしれないとも感じています」

 あえて産経新聞にメールを寄せた理由をそう語った。

(連載は毎週掲載します)

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元東大全共闘の近藤ゆり子さん

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