続・独島電波 いいかげんにしろよ金文吉
【釜山5日聯合】独島を新羅の領土として表記した日本の古代地図が見つかった。
釜山外国語大学の金文吉(キム・ムンギル)教授(韓日関係史専攻)は5日、鬱陵島と独島を新羅の領土として表記した日本図を発見したとし、関連写真2枚を公開した。この日本図は神奈川県の金沢文庫が所蔵するもので、7世紀に日本の僧、行基が日本列島を布教して回りながら作った日本で初めての地図とされる。行基は日本に帰化した百済人の子孫で、日本の古代仏教の名僧として国づくりにも貢献したといわれる。
行基図では現在の鬱陵島と独島を、雁などが羽を休めていくところという意味で「雁道」と表記している。人の住まない、新羅の領土という解説もついている。
金教授はまた、1662年に京都で郷土史を研究していた人物が行基図を土台に西洋の測地法を用いて作った地図の写真も公開した。これは京都大学の博物館が所蔵するもので、これにも鬱陵島と独島は「雁道」と表記されている。
金教授はこれらの地図から、古代の日本人が鬱陵島と独島を「雁道」と呼び新羅の土地として認めていたことが確認できるとし、「独島領有権を主張する日本に反論できる貴重な資料を確保したという点で意味がある」と述べた。
この金文吉なる教授。
以前には「日本海山潮陸図」という古地図にある『韓唐』という架空の国を見て、「鬱陵島と独島を合わせた島だ」「渡来人を唐人と呼んだりもしたし、韓という字も入ってるから韓国領土と見なしていた証拠だ」などと電波を発していた。
関連ログ:また独島電波 そんな事より『韓唐』の話
結局、「韓唐」=「雁道」であり、人でないものが住む(今昔物語によると龍王が住むとか)という伝説上の架空の国であるわけなのだが、今回はさらに電波量を増し新羅の土地だなどと言い出してしまった。
最初はなぜ新羅などと言い出したのかさっぱりだったものの、金沢文庫蔵日本図の画像を確認してみてようやくこの教授のこじつけている部分が理解できた。
問題部分(左下)のアップ
右に「雁道 雖有城非人(城有りと雖も人に非ず)」とあり、左に「新羅国 五百六(?)丁 六ヶ国」とある。
つまりこの教授は隣り合った記述を無理矢理一緒くたにしているという事。
元記事では「雖有城非人」を「人の住まない」すなわち無人島であるかのように解釈しているようだが、これは以前も指摘したように間違いである。元記事にある写真は記事後段で述べられている京都大学所蔵の「扶桑国之図」なのだが、こちらにきちんと書かれている。切り抜いてアップにしてみた。
この画像ではわかりにくいものの、「此国之人形人にあらず」とあるのだ。
以下は別版の「扶桑国之図」(国立民族博物館蔵)。色合いや細かな記述部分で違っているが、ほぼ同じものとみてよいだろう。
クリックで全体表示
こちらも少しわかりにくいものの、「人にあらず」という部分は確実に読み取れる。
なんにせよ、住んでる人の形が人でないとまで書かれていてそれを竹島であると主張するのは無茶だし、しかもそれが新羅の領土だとまでいうのは滅茶苦茶だろう。
そもそも、この「金沢文庫蔵日本図」にある『新羅』が、金文吉教授の考えているように現在韓国のルーツである(?)新羅であるかどうかも疑わしいところ。
「金沢文庫蔵日本図」が写されたのは嘉元三年とされている。西暦でいうと1305年。新羅が高麗に吸収される形で滅んだのが935年の事である。400年近くも前に滅んだ国の事を果たして描くものなのだろうか。それに、地図の右下部分(北西方向)には「高麗」の記述があり、その先に「蒙古」があるとされている。よってこの『新羅』という記述が朝鮮半島にある国家の名前でない事は明らかだろう。
当時の日本人がどのように考えていたのかはよくわからない。新羅の末裔がシベリア辺りに逃れ細々と国家を運営していたと考えていたのか。それとも、遼や金などを新羅と誤認していたのだろうか。
※※上段落訂正※※
『地図の右下部分(北西方向)には「高麗」の記述があり、その先に「蒙古」があるとされている』という解釈は間違いだった。
右下部分の記述を翻刻すると「高麗ヨリ蒙古国也 自日平トヨ国云 唐土ヨリハ多ゝ国云 一珎 八百国」となる。この「高麗ヨリ蒙古国也」というのを「高麗から蒙古へ至る」と解釈してしまっていたわけだが、正しくは「高麗から蒙古と呼ばれている国」という意味だったようだ。以降の文の意味としては「日本はトヨ(刀伊)国と呼び、唐土は多ゝ(韃靼?)国と呼ぶ」といった感じ。「自日平」は「自日本」の誤記ではないかとの事。「一珎」は何を意味しているのか不明。
また、「金沢文庫蔵日本図」以降に写された地図において、「百済」や「新羅」と記されているものもあり、同地図に朝鮮半島の国家としての「新羅」がある事は不思議ではない模様。
とは言え、「雁道」と「新羅」は明らかに別々に書かれてあり、「雁道が新羅の領土」という事には絶対にならない。
※※以上訂正※※
前回のエントリ時点では、僕はこの教授が「素人でもわかるような事をろくに調べもせず、自らの妄想だけを信じ珍説を発表する大学教授」なのか、「一般的に言われている説を重々知った上で、自らのイデオロギーを優先させる為にそれを無視し、知らない振りをして珍説を発表する大学教授」なのか、判断がつかなかった。だが、今回のこの記事で確信に近い感慨を持った。金文吉は後者であろう。こいつは竹島が韓国領土だと主張するためだけにわざとやっているきらいがある。
その理由は元記事に挙げられた写真。
問題は、元記事本文において「金沢文庫蔵日本図」を土台にした主張(新羅の領土云々)を述べているにも関わらず、その写真は使われていないという点。逆に、詳しいキャプションを付けず「扶桑国之図」の写真が使われている点である。
この記事を読んだほとんどの人が、元記事にある写真が「金沢文庫蔵日本図」であり、上部の島らしき所に『新羅の領土である雁道』と書いてあると思い込んでしまうだろう。この記事についてツッコミを入れているサイトをいくつか見て回ったが、現にそういう勘違いをしている人も多かった。日本語が読めない韓国人ならば尚更そうだ。下手するとこの記事を書いた記者でさえそう思っている可能性がある。金文吉教授はメディアに対して「金沢文庫蔵日本図」の写真を見せていないかも知れないのだから。
上で見て分かるとおり、「金沢文庫蔵日本図」はなかなか愉快な地図である。楕円ばかりで構成され、日本列島を龍が囲んでいる。前回挙げたように「雁道」「羅刹国」という架空の国が描き込まれている。さらに右上部分にはおそらく琉球の事であろう「龍及国」なる記述があるものの、そこには人身鳥頭の者が住むとある。一般的に考えて、これを領土問題の史料とするには説得力に欠ける。
さらに重要なのは、「雁道」がかなり巨大だという事。少なくとも中国地方から北陸近くまでの幅があり、その端は見えない。これは島というより大陸の一部である事は明らかで、金文吉教授が主張するような「鬱陵島と独島」には誰が見ても見えないのだ。
一方、「扶桑国之図」の方なら現在の我々が知る地形にも近く、それほど愉快なものではない。雁道も(やや大きいながら)島に見える。彼の説を裏付ける史料として出しても多少の説得力はあるだろう。
反日のためならすぐ頭に血が上る韓国メディアといえども、「金沢文庫蔵日本図」の写真を見ればこの教授の主張がおかしい事にはさすがに気付くだろう。トンデモすぎて記事にしないかもしれない。それを防ぐために、この教授は『説得力のある』方の地図だけを提示し、一種の情報操作を行っているのではないか、というのが僕の邪推である。もしくは、記者と共謀してミスリードを誘っている記事という事。そうでなくては写真の使い方が不自然である。
つまり、金文吉は自説がツッコミ所に溢れているという事にある程度自覚しているのではないか、と思わざるを得ないのだ。そして、それを補おうとしてくだらない努力を行っているのではないか、と。
何故そんな愚かしい事を行っているのかは定かではないが、まあ売名行為というか商売上の事なのであろう。
韓国メディアに躍る国粋主義的なトンデモ歴史新説は、そのほとんどが歴史学以外の畑違いの学者か、在野の者によって発表される事が多いのだが、この金文吉教授もご多分に漏れず、歴史学者ではなく外大で日本語を教えている先生のようだ。ただ、その強みを活かして、日本にある日本語の史料を採り上げ、それをトンデモ解釈するという事を度々行ってきている。一種の隙間産業と言えなくもないのだが、やはりそれも定期的に行わなければシェアを奪われてしまうという事だろうか。よって、今回のようなあまりに苦しい珍説も出さざるを得ない、と。
まあ、どのようなものであっても反日ネタなら韓国メディアは食いついてくるし、検証作業も全く行わないのだからボロいものなのだろう。一体、この教授への取材料がいくらほどのものなのかが気になる所。それか、竹島ネタで本でも出す気なのかも知れんね。
※7/10
中段部訂正ならびに文法的に気になった所をいくつか加筆修正
※7/11
別版の「扶桑国之図」画像を追加しさらに修正
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