2004年、2005年は、国内では既に年間販売台数を上回るリコール台数になっていた(2006年の記事
より)
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最近、トヨタのリコールが報道され始めた。アクセルペダルなどに不具合が出る問題で、同社のリコールと自主改修を合わせた改修対象車が、世界で700万台以上となり、昨年の同社の世界販売台数を上回ったことが分かった。NY共同通信が報じ、その配信を受ける国内各社のうち、産経だけが報じた。米議会が異例の公聴会を開くなど問題はグローバル化しているが、国内では既に2004年、2005年に年間販売台数を上回るリコール台数を叩き出すなど、トヨタの欠陥車体質が昔からの話であることは、弊社報道の通り。13年連続1位だった広告額が2位に陥落し、口止め料が減ったことで、タガが外れ始めた。
| トヨタ、700万台超改修 昨年の世界販売台数上回る | | トヨタ自動車は29日、欧州で販売した8車種、最大180万台を対象にリコール(回収・無償修理)を実施すると発表した。アクセルペダルがフロアマットに引っかかって暴走する恐れから北米で実施している自主改修分などを含めると、重複分を除いても、リコールと自主改修を合わせた対象台数が世界で700万台以上となり、トヨタの昨年の世界販売台数の698万台を上回る規模になる。新たにリコールの対象となったのは、欧州などで2005年2月から10年1月まで製造された「ヤリス」(日本名ヴィッツ)「オーリス」「カローラ」など。トヨタはこのほか、米国で約230万台、カナダで約27万台、中国で約7万5千台のリコールを発表。 1月30日11時58分配信 産経新聞 | |
MyNewsJapanでは2006年7月から「リコール王トヨタ」を7回連載している(最下部の関連記事参照)。そのうちの1つ「
リコール王・トヨタ 欠陥車率3年連続100%超も、回収率さえ非公表」では、こう書いた。
「売ったそばからリコールして、また欠陥車を売って、という繰り返しで、買う側からすれば、そんな危険な車には、とても乗る訳にはいかないことがよく分かるが、マスコミは広告主・トヨタに屈し、こうした単純なデータの提示さえできない」
さらに、官僚との関係では、2006年当時、国交省の「リコール対策室」にメーカー別に集計したリコール情報の公開を求めたところ、「そのようなものはない」と、タカハシという担当者が応対した。このとき、役人が企業と癒着して人殺しを犯していることがはっきり分かり、戦慄を覚えた。そして裏ルートから国交省の裏管理資料を入手し、メーカー別のリコール台数を記事化した。
◇国交省とマスコミの変化
その後の変化としては、まず国交省は、企業との癒着批判を恐れたためか、この裏管理資料(企業別のリコール件数)をやっと公表するようになった。
マスコミは変わり始めたのか。奥田会長による「スポンサー降りてやろうか」発言(2008年11月)からも分かるように、トヨタはスポンサーになっている企業(つまり全マスコミ)の報道姿勢に目を光らせ、口止め料として、広告を過大に出してきた。
それが、不況になって一転。トヨタがマスメディア向け広告・宣伝費を2008年度に前期比3割弱カットする方針を打ち出し、総額でも2008年度は、それまで13年連続1位だった広告宣伝費が2位に後退した(881億円、前年度比18.60%減)。
これまで広告に押さえつけられてほとんど報道されなかったトヨタのリコール問題が報道され始めたのは、日本一だった口止め料が減ったことにより、タガが外れたと見るべきだろう。
現状ではまだ朝日、日経、読売は最小限の発表モノ報道だけにとどめ、「調査報道されたくなかったら広告出せよ」と言わんばかりの、けん制をしている。マスコミ向けで3割削減されたといっても、まだ総額では2位の大クライアントだから慎重だ。
広告費削減で赤字転落したマスコミ各社が、逆ギレして報復するかのように調査報道を始める日も近いかもしれない。