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業者と「あうんの呼吸」、暗黙のうち慣例化/神奈川県職員の預け金着服

2009年12月24日

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※図書券の発注・受け取りはAとBのみが担当

※図書券の発注・受け取りはAとBのみが担当

 業者への「預け金」という形で公金を使ったプール金を生み出し、その金を業者から戻させて着服する裏金事件は、過去にも幾度となく世間を騒がせてきた。全国の自治体や警察組織などで発覚するたびに根絶が叫ばれてきたにもかかわらず、神奈川県でも職員4人が少なくとも3500万円の公金をだまし取った疑いが濃厚となった。図書券や図書カードのやりとりは、業者と職員の間で「あうんの呼吸」で慣例化していた可能性が高いという。

 県によると、事務用品などを購入する場合、業者との間で(1)発注(2)納品(3)納品確認(4)支払い―を行うのが手順。ところが税務課経理班では大量購入などの際、特定の4社との随意契約で架空発注を紛れ込ませ、数十万~100万円程度多めに業者の銀行口座に振り込むことが常態化していたという。架空発注に合わせ、事務用品などが納品されたように見せかける書類も作成。予算使い切りのため、年度末に残金を預ける狙いもあったとみられる。

 県政策部は「預け金禁止は何度も全庁に通達してきた。一部の部署が、急に物品が必要になった際、業者に融通を利かせられるための必要悪だという誤った認識で続けていた」と釈明する。職員、業者への聞き取り調査や納品記録から、預け金は2003~07年度だけで、1億2千万円に上ると判明。告訴される3人以外にも複数の職員が預け金の存在を承知していたが、見過ごされてきた。

 預け金は業者の口座にプールされ、業者側が裏金として管理していた。通常の物品購入にも使われていたというが、一定の金額に達すると両者があうんの呼吸で接触。職員側が電話で50万円~最大200万円分の図書券などを要求し、渡される仕組みだった。発注や受け取りは、4職員のうち部下だった2人が担当していたという。

 県幹部は、図書券が金券ショップで換金され、職員が私的流用することについて、「業者側も暗に認識していたはず」と語る。職員は県の調査に「引き継ぎはなかった」と説明。裏金ノウハウは暗黙のうちに受け継がれていたとみられる。

 1999年度以降、税務課は県内19カ所の県税事務所の事務用品の納入を一括で扱う立場にあり、予算と権限が集中していた。他部署に比べ人事異動も少なく、2千万円分の図書券を受け取り、今年1月に自殺した職員は20年近くも税務課に在籍していたという。

 今後5年で1兆円とされる財源不足を抱える県の財政危機のさなかに、数千万円の公金が、一部職員のパチンコ代などの遊興費に消えた。今回発覚した預け金1億2千万円のうち、残りの8500万円の行方はいまだに不明で、県警の捜査に委ねられる。03年度以前は経理記録が残っておらず、さらに以前から脈々と不正が続いていた可能性を県当局も否定していない。 

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