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本当は書き込みをいただいた御二方に答えを返すべきでしょうが、本文にて代えさせていただきます。
励ましを頂いた多くの方にまずはお礼を申し上げます。
私の落ち度は指摘されてしかるべきですし、その覚悟はすんでおります。
長い話で恐縮ですが、一度書いただけでは私の真意は伝わっていないようですので、方向を変えて歯車と城壁と石つぶての話の続きを少ししたいと思います。
『狂った歯車』を持った作品を生み出しているのは特定の一社、二社の話ではありません。
『戦極姫』はこうして槍だまに上がっているだけです。
だからこそ、私は『なにが悪い、どこが悪い、誰が悪い』と私は言いませんし、言えません。
ですから、私は『悪い』ではなく『狂い』だと述べました。
狂った歯車は『戦極姫』だけの話ではなく、今のゲーム業界の全体に言えることです。
有名どころでは『パッチをあてればいい』という甘えです。
それがたとえ、ゲーム本体よりもサイズの大きくなるようなものだとしても。
不慮のミス、やむないことならばならば仕方がありません。
ですが世間を見れば、どう見ても甘えとしか思えないパッチが存在しています。
それよりも問題なのが、『ゲーム』という人になにかを伝える物を作るはずの職業であるにも関わらず、その製作に携わりながら製作関係者に考えを伝えることが出来ない。
全てが自己完結で終わってしまう。
自分だけがわかる資料しか作れないし、相手が言いたいことをまったくわかろうという努力が見えない。
そんな人たちがディレクターなどとなって作品の指揮を執らねばならないことが増えています。
それが『狂った歯車』を生んでいる大きな要因の一つだと思います。
しかし、私はその狂った歯車がどうしても悪意に根ざしたものだとは思えないのです。
そんな人たちがただ自分勝手で怠惰な人間だと一概には思えません。
昨今は会社に入って初めて、多くの社会常識や仕事のやり方を学べる時代だといいます。
そして、十年ほどいて、ゲーム業界は人を教えられる人の極端に少ない業界だということがよくわかりました。
私は物書きになろうにも実力不足を痛感していたので、まずは社会勉強のためにと社会人になってからは営業職のサラリーマンをしていたから、よけいにそう見えるのかもしれません。
世代の交代により、教えも十分に受けられず、経験も浅い人たちがディレクターなどとなって、このコンテンツが悪戯に数を増やし、回転の速度があまりに早くなっている世界で創作の指揮を執らねばならない。
それは、ユーザーの方々にはきっと想像もつかない大変な重労働なのです。
私もディレクティングの仕事を少しだけ経験してはいますが、経験豊富なディレクターの手腕は本当に驚くものです。
才能もさることながら何よりも経験がものをいう仕事だと思っています。
それをノウハウがあまりない人間がするというのは重労働どころか、それ以上のなにものでもありません。
だから、私は『悪い』のではなく『狂い』だと言いたいのです。
彼らは彼らなりに頑張ってはいるはずです。それは時にクリエイター以上のはずです。
今考えれば、人の意見に耳を傾けなくなることもまた、彼らにとって一つの防衛手段なのではないでしょうか?
きっと、そんな余裕がないだけだとも思います。
全力を尽くしているからこそだとも。
その自負があるからこそ、本来フォローするべきのクリエイターをフォローするどころか時に邪魔さえもしてしまう。
人に謝ることすら出来ない。悪気なく傲慢に振舞ってしまう。
クリエイターが良作を生み出そうとまっすぐに自分の進むべき道を駆けて行くのと違い、余裕がないために誰にも道を聞かず、道を誤りながら進んでいるうちにズレた場所にたどりついているのではないでしょうか。
そして、製作には時間切れというものがあり、困ったことにそこでディレクターの到着した地点がゴールになってしまう。
そうやって『歯車の狂い』は生まれてきます。
ただ突っ走るのではなく、立ち止まり、関係者で蜜に話し合い、最善作をひねり出す努力こそが、こうして遠隔地にいる人間が一つの作品に参加し、作り上げられるようになった今でこそ最も重要なことなのではないでしょうか?
そうやって、良作を作り続けているメーカーは数多くあります。
未熟なのが問題なのではありません。
意思の疎通が出来てないことこそが問題なのです。
それは努力と工夫と時間の使い方でなんとかなることが多いはずなのです。
悪質なメーカー、怠惰なメーカーはたしかに多数存在します。
ですが、私はSSαさんがそういう悪質なメーカーだとはいまだに思えません。
ただ、あまりにノウハウがなく、大事なところを大きく勘違いされているのではないかと思います。
その本質が悪質でないからこそ、こうして色々ありながらもシリーズは継続し、ヒットもしているのだと思います。
本質はユーザーの期待に応えようとしていると思っています。
ssα社内でそうやって心をくだかれている方も多く存在しているのを知っています。
しかし、それが参加するクリエイターにとっても、ユーザーにとっても『大きな悪意』としか捉えられなくなっているのが一番の問題なのです。
「それは果たして、ユーザーの期待に応えていることになるのか?」
私は作る側の立場なので、答えを出すことができません。
ですが、ユーザーには答えを出すことができます。
誰よりもそれを批判する権利があります。
正当な批判が数多く寄せられれば、きっと気がついて立ち直るメーカーさんは少なくないと思います。
ゲームが好きで、怒る気持ちがあるのなら、そういった方向へと力を注いでいただきたいと思います。
ただ、罵倒したり、感情をぶつけたいという気持ちもわかります。
それを見えないスタッフよりも、見えるクリエイターにぶつけたい気持ちもわかります。
ですが、少しだけその本質を覗く努力をしていただけないでしょうか?
そして、批判の石つぶてはただの怒りの感情でぶつけるよりも、考えてぶつけた方がより意味があると思います。
『北風と太陽』の話を思い出してください。
怒りの感情を罵詈雑言でぶつけ続けても、相手はかたくなに無視して、逆効果になることがあります。
SSαさんを恨む気は毛頭ありません。
あるのはただ、慙愧の念ばかりです。
システムソフトさんのゲームを私は小学生の頃からしていました。
私の軍事知識の根本は大戦略にあります。
ロボットアニメの方が好きだったガキの私は派手な兵器ばかりで力押しして、惨敗したものです。
その本質を理解するのに何年かかったでしょうか。
私のように多くの方がステムソフトのゲームで楽しまれたことだと思います。
だからこそ、戦極姫も支えられ、期待されているのだと思います。
私もかつてのユーザーとして『戦極姫』や『乙女たちの戦場』に参加できたことは本当に嬉く、だからこそ力を注ぎました。
それでも、ユーザーの期待に応えられなかったことは残念ですし、もっと余裕さえあれば何とかなったのにと死んだ子の年を数えるように後悔しておりました。
ですが、今はもうSSαさんの以降の作品がユーザーに歓んで受け入れられることこそを祈っています。
そして、多くの人に参加クリエイターの無念を少しでもわかっていただきたかった。
それはまた特定の会社だけの話ではないということもです。
この『コンテンツを使い捨てすれば良いかのような回転の速さ』にどう立ち向かうのか?
それは全てのユーザーとメーカーに共通する実に大きな命題だと思います。
『悪貨が良貨を駆逐する』ことは世の習いかもしれません。
本当に大きな問題です。
ですが、ゲームが好きならば、それにささやかでも抵抗をしていただきたいと切に願います。
ロンメルを初めとして、名将と呼ばれる人間が苦境の中で善戦し、しかし敗退したことも当時はただの敗将として冷遇されたかもしれません。
歴史を掘り起こす人がいなければ評価されなかった敗将は数多くいるでしょう。
そして、これからもそういう人物はきっと現れます。
しかし、ゲーム業界のクリエイターの中にいる『評価されるべき敗将』ともいえるべき方々を掘り返し、再評価しようとする人は少ないでしょう。
世界の趨勢を決めた戦いと、ただの娯楽ですから当然といえば当然です。
ですが、そうやって評価されなかった方こそが今の業界には必要なのではと思うのです。
この業界において、私は名将にあこがれる凡将、あるいは愚将で終わるかもしれません。
名将たちに嫉妬し、自分もそう呼ばれるために我武者羅に生きてきました。
ですが、こうなってしまった以上、娯楽を生み出すために時に命すらかけたクリエイターたちが不当な評価を受け、大きく誇りを傷つけられていることに、どうしても触れたかったのです。
そして、そういうゲームのクリエイターたちをゲームを見ることすらしないで、無責任にひどい言葉で罵倒する人には少し考えていただきたいと思います。
その言葉で死に勝る屈辱を受ける人間がいることもあるということを。
ユーザーが厳しい評価を与えることは当然の権利です。
ですが、ユーザーでもないのにその風評だけを面白がって喧伝することで、貶められるクリエイターの気持ちを少し考えて下さい。
それを面白がることを止めません。ですが、せめて言葉を選んでください。
そして、メーカーの方々には言われなき批判までもをクリエイターに覆い被せてしまうという責任を今一度考えていただきたいと思います。
クリエイターはその名を大きく出して、責任を持って生きているのです。
そして、最後に。
思わぬ騒ぎとなってしまったようで、思いもよらなかった不注意で多くの方に御迷惑をおかけてしまったようです。
関係者各位には心から謝罪いたします。
この度は御迷惑をお掛けし、大変申し訳ありませんでした。
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