最低制限価格は、材料費や労賃などの積算単価から計算した予定価格に、一定の比率をかけて算出する。自治体によって違うが、70〜90%が主流で、工事の品質低下につながらない程度という配慮で設定される。ただ、民間の工事に比べて割高という批判も多い。
同社の桑原耕司会長は「当社は適正な利益が約400万円だと判断しており、それ以上は受け取るべきものではないと考えている。現状の入札制度では、最低制限価格よりも少し上を狙って入札するのが目的となり、本来の競争が阻害されている。制度を見直すべきだ」と話している。
入札制度に詳しい鈴木満・桐蔭横浜大学法科大学院教授(経済法)は「予定価格を基準にした県の最低制限価格の設定の仕方がおかしい。税金が無駄遣いされる典型的なケース。入札価格の平均を最低制限価格の基準にして、市場価格と連動するような『変動型最低制限価格制』を導入するべきではないか」と話している。(松田昌也)
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〈希望社〉 大手ゼネコン清水建設に勤務していた桑原耕司会長が、1988年に創業した建設会社。施主に代わって、競争原理で工事会社を選定する建設マネジメント(CM)方式のコンサルタント業務を中心に、09年3月期の売上高は30億円。従業員数は103人。桑原会長は03年、当時の田中康夫・長野県知事に要請され、同県の公共工事入札等検討委員会に参加。同県は、入札価格だけでなく、業者の地域貢献や過去の工事成績も加味して判断する「総合評価落札方式」を導入した。