荒井正吾知事は10日の定例会見で、移転を検討している県立医大(橿原市四条町)の跡地を活用したまちづくり案を発表した。現在地に残る付属病院の周辺に、民間の介護施設や長期滞在施設、商業施設を誘致する構想で、荒井知事は「医療、介護、福祉を集積させ、ネットワークの確立を目指したい」と話している。【阿部亮介】
県は地域医療再生計画で付属病院を高度医療拠点病院として位置付けている。高度化に伴う施設整備を進めるには手狭なため、県立医大の教育施設を学研高山第2工区(生駒市)や県農業総合センター(橿原市)などに移転することを検討している。移転先は11年度中に決める予定。
まちづくり案は移転を前提とし、約10ヘクタールの敷地を、医療▽憩い▽福祉▽療養・看護支援▽商業・福祉・文化▽商業の6ゾーンに分けて開発するとした。
このうち、医療ゾーンでは、県が付属病院の中央手術棟や助産師の技術向上を目的としたバースセンターを整備。手術室機能や周産期医療機能の充実、がん治療の強化を図る。県は来年度当初予算案に約5億6000万円を計上。15年度までに総額約121億円を投じてオープンを目指す。
また、病院南側の療養・看護・支援ゾーンには看護家族向けの滞在施設や長期療養者用ウイークリーマンション、病院東側の福祉ゾーンには介護付き高齢者住宅やショートステイ施設などを民間から誘致する。商業・福祉・文化ゾーンはショッピング施設や子育て支援施設、カルチャーセンターなどを誘致する。さらに駅直結型の住宅を整備するため、新駅設置について近鉄と交渉する。
毎日新聞 2010年2月11日 地方版