テレビで、映画で、誰もが毎日のように目にしながら、
いまだ敷居の高い高度な技術と思われがちな3DCG。
乳揺れパンチラから宇宙艦隊戦まで何でもゴザレの最新技術を、
ステップ・バイ・ステップでやさしくレクチャー!
第一シリーズは、宇宙船の建造から飛行までを実地で体験。
宇宙船を造ろう その1
■必要な機材
3DソフトはLight Wave 3Dを使います。本体だけでウン10万円、年間保守費用で更にウン十万円が当たり前のハイエンド3Dソフトの世界において、飛び抜けたコストパフォーマンスを誇る製品です。当社製品「figurehead」の背景やメカ映像は、プラグインなどの追加投資をほとんど行わない、素に近い状態のLightWaveとマシン2台で製作されています。つまり「超ハイスペックなプロ用機材つかってるんだから、俺らに出来なくて当たり前」なんて言い訳は通じません。
原稿執筆時の最新バージョンは9.2。Mac版、Win版があるのでプラットホームにも困りません。ドングルはデリケートなので、取り扱いは要注意です。
3Dオブジェクトの表面に貼り付ける画像を編集するために、2Dグラフィックソフトも必要です。理想を言えばPhotoshopあたりが欲しいところですが、こいつもマシン一台買える値段ですから、機能に問題さえなければフリーウェアでもOKです。ペンタブレット、スキャナーなども欲しいところ。
最終的にはムービーの製作を目指すので、動画編集、加工ソフトも追々用意しましょう。上はAftereffect、下はフリーウェアまで、これまた予算とやる気と度胸次第です。
むろん、パソコンも用意します。この記事を読んでいる時点でパソコンが無いってことは考えにくいですが、3D、動画編集は洒落にならないマシンパワーを消費しますので、ついでがあればパワフルなマシンに買い替えてみると幸せになれるかも。高性能のグラフィックボードは作業効率が増しますし、高速なCPUはレンダリング時間を短縮できます。
紙と鉛筆も忘れずに。ザッとしたデザインラフから数値のメモまで、机の横には常に紙束を置いておくよう心がけましょう。
■デザインを起こす
ブツを揃えている間に、宇宙船のデザインを錬ってみましょう。アイデアをまとめて紙にスケッチしていきます。この工程にかける時間と手間は、ヒトによってまちまち。何度もスケッチを重ね、三面図まで用意する人もいれば、ざっとテーマとバランスを確認しただけで済ませてしまう人も居ます。このへんは立体の把握能力とか経験とかが絡んできますので、はじめは極力シンプルな形にとどめておきましょう。普通の感覚で言う「シンプルな形」と「3Dで作りやすい形」とには、だいぶ開きがあったりしますが、身体で憶えていくしかありません。
まあとりあえずは、こんな感じで。

ポイントはクラシカルなリベットと、まんまるっちいフォルムです。これだけだと形状的につまらないので、なにげにハードなディティールも追加してみます。

あわせてペイントも検討。ペイントソフト上で着彩すると、試行錯誤がラクチンです。今回、質感表現のことは、この段階では考えないでおきます。

一見ボロっちいけど中身はハイテク、重武装な海賊船という設定を考えてみました。面白そうなので、戦闘モードでは変形し、短時間だけど無敵の火力を発揮することにします。このように、メカニックのデザインアイデアが映像作品のストーリーや演出にフィードバックされる場合も多々あります。

それでは次回は、この海賊船の建造に移りましょう。
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