ニューヨーク(CNNMoney) トヨタ自動車の相次ぐリコール発表と不具合の発覚を受け、米国で同社を相手取った訴訟が相次いでいる。対象車が拡大し、弁護士が原告集めに奔走する中、訴訟絡みの損失は、リコール関連費用の20億ドル(約1800億円)を上回るとの観測もある。
調査会社ギミ・クレジットのアナリストによると、トヨタを相手取った訴訟はこれまでに、アクセルペダル関連のものだけでも30件を超え、訴訟を準備中の人も数多いという。「弁護士たちは競ってそうした人たちをかき集めようとしており、同社はミスを認めている。金額を予想するのは難しいが、数十億ドル規模になる可能性もないとはいえない」とクレイグ・ハトソン氏は言う。
米格付け会社のムーディーズも9日、訴訟リスクを理由にトヨタの格付けを引き下げる可能性があると発表した。
同日リコールが発表されたプリウスなどハイブリッド車のブレーキ不具合をめぐっては、少なくとも1件の集団代表訴訟が起こされている。さらに、カローラのパワーステアリングにも不具合の情報が流れ、トヨタを相手取った訴訟はさらに増える様相だ。
カンザスシティーで弁護士を営むギャリー・ロブ氏は「(リコールの)ニュースが流れると、非常に多くの人から電話が殺到した。これまではドライバーの過失が原因とされていた事故も、アクセルペダルの不具合のせいにされる公算が極めて大きい」と指摘する。
同氏はさらに、リコール対象車を売りに出す場合の価格低下で生じた損失を取り戻すため、集団代表訴訟も検討しているといい、こうした損失の額は総額60―80億ドルになるとの試算を明らかにした。実際、中古車の価格情報サービスを手掛けるケリー・ブルー・ブックは、リコール対象車の予想価格を2.5―3.5%引き下げた。1台あたりの値段は250―800ドル下がる計算になる。
トヨタはリコールに起因する訴訟についてコメントを避けている。