旅荘船越 女将の日常 「鬱なりに生きる」

神奈川県湯河原温泉「旅荘船越」女将のブログです。鬱病とパニック障害に苦しみながらも病気との共生を目指し,日々を送っています。

命をかけた苦渋の選択

本日8月10日更新の、旅荘船越のホームページをご覧下さい。
そのトップページに大きく書かれている通り、
旅荘船越は本年10月末日をもって閉館することになりました。
理由につきましては、私の健康上の問題です。
どうかホームページの「女将からのご挨拶」をお読み下さいませ。
私は自分の身体が持ちこたえられる限り、旅荘船越を続けていく
覚悟でおりましたが、とうとう限界がきてしまいました。
鬱病が悪化の一途をたどり、自分で自分の生命のコントロールさえ
出来なくなってしまったのです。
旅荘船越は、私が女手ひとつで守り抜いてきた旅館です。
閉館するにあたっては、言葉に出来ないほど多くの思いがあります。
それでも万が一にも自分から命を絶つような愚かな行為に
走らないために決断致しました。
今まで私と親しくお付き合い下さいました皆様でしたら
私の性格を良く御存知のことと思います。
この度の閉館は、決して倒産などではございません。
出入りの業者さんに1円の迷惑をかけることも無く、
従業員全員の理解を得たうえでの自主廃業です。
(その証拠に、従業員は最後の日まで、一人も欠けることなく
私と一緒に働いてくれると言ってくれました)
それも、私の病気を治すための前向きな廃業です。
ですから私は閉館後も、愛する故郷である湯河原に住み続け、
ゆっくりと病気の治療に専念いたします。
どうか今後とも、相変わりませぬお付き合いのほどを
心よりお願い申し上げます。

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夜明け前

苦しくても

一日一日を生きていくので精一杯です。
どんなに苦しくても、私は生きていきます。
私のブログを読んで下さっている皆さん、
更新できなくて申し訳ありません。
たとえ何日更新がかからなくても
私が生きていることだけは信じていて下さい。

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百日草

残念ながら・・・

残念ながら、とてもひどい鬱状態に陥っています。
朝は4時過ぎに早朝覚醒してしまい、起床時間まで悶々と過ごします。
力を振り絞って旅荘船越へ出勤するのですが、ほとんど仕事は出来ません。
頭は憂鬱で何も考えられず、胸は苦しくて泣いてばかりいます。
お腹の中が熱くなったり冷たくなったりして、じっとしていられません。
かといって横になっても、身体が落ち着かず、身の置き所がないまま
畳の上を転げまわってしまいます。
不安と恐怖で気が狂いそうです。
食欲も無く、ただ薬を飲むためにバナナを牛乳で胃に流し込みます。
「こんなにつらいのならいっそ・・・」と何度思ったか知れません。
けれどそれだけは決してしてはいけないことだと
自身の講演で訴え続けてきた私です。
万が一のことを考え、ひと時も一人きりにならないようにしています。
8年間の闘病生活の中でも、かなり悪い状態だといえるでしょう。
少しでも早く、少しでも良いから楽になりたいと
それだけを心から願っています。

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ブルーサルビア

講演会、無事終了

昨日は湯河原町での講演会でした。
朝から雨降りだったので、聴衆が集まるか不安でしたが
お蔭様で超満員!
会場の150席の椅子では足りず、折りたたみの椅子を並べ足し
約200人が真剣にお聴き下さいました。
それも湯河原だけではなく、東京や群馬から来てくださった方もおりました。
実を言うと、最近の私の鬱状態は最高に悪く、何とか仕事には出るものの
後はほとんどが寝たきりでした。
一番不安だったのは、聴衆の数ではなく、自分が講演をできるかどうか
だったのです。
壇上に立ち、皆さんと向き合って、どうにかエンジンがかかりました。
「うつと共に生きて」というテーマで話を始めると、皆さんの様子で
本当に真剣に聴き入って下さっていることが、ひしひしと伝わってきました。
居眠りをしている人など一人もいません。
やはり現代社会においては「鬱病」は大きな問題になっているのだと感じました。
もちろん私も真剣勝負です。
限られた時間の中で皆さんに伝えたいことを一生懸命話しました。
講演の後の著書のサイン会にもたくさんの方が並んで下さり
色々な声をかけていただきました。
地元湯河原での講演会は、このようにして無事に幕を閉じたのでした。

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開演前からぞくぞくと人が集まる

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200人の聴衆に向けて話し始める

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講演の様子

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本の展示即売会

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サイン会も大行列

湯河原やっさまつり

8月2日(日)・3日(月)は湯河原の夏祭りです。
「やっさまつり」と呼ばれるこのお祭りは、
鎌倉時代に土地の豪族・土肥実平(どひさねひら)が
民衆に唄をくちずさみながら踊らせたことを起源とし
毎年2日間で延べ3000人を超える踊り連が、町中を練り歩きます。
2日のやっさパレードでは、午後6時からガールスカウトとマーチングバンドが出発
その後ろをやっさ踊りの連が踊り、次いで祭囃子の音も賑やかに花車が続きます。
パレードの最後は神輿三基が締めくくります。
3日の海上花火大会では、午後8時から吉浜海水浴場の沖合いから打ち上げられる
3200発の花火が夜空を華やかに彩ります。
両日ともに、いかにも夏祭りらしいお祭りで、私は大好きです。
旅荘船越では、まだ若干の空室がございますので
「やっさまつり」を見に、そして飛び入りで踊りに参加しにいらっしゃいませんか?

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やっさ踊り

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海上花火大会

講演会迫る

地元湯河原での講演会「うつと共に生きて」まで
残すところ一週間となりました。
講演の内容がようやくまとまったところです。
人様から見れば、何の苦労も無く思われるであろう私が
何故、鬱病とパニック障害を発病したのか。
そして自殺未遂までおかしてしまったのか。
それでも今尚こうして生きているのか。
鬱なりに生きるとはどういうことなのか。
そんな話をしたいと思っています。
講演会は無料です。
皆さん、是非聞きにいらして下さい。
日時:7月28日(火) 午後1時開演
場所:湯河原町商工会館 3階大会議室
(詳しくは7月14日のブログをご覧下さい)

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講演会ポスター

夏日はいつ?

7月14日に関東地方が梅雨明けしてから、丁度一週間が経ちました。
けれどこの一週間、湯河原は快晴の日がありませんでした。
たいていが曇り空。
午前中は良いお天気の時でも、午後から曇り、夕方には雨が降り出しました。
何だか梅雨が明けた感じがしません。
なのに気温だけはどんどん上がるので、余計にうっとうしい気がします。
やはり夏は夏らしく、照りつける太陽の下で、海や山へ出掛けたいものです。
湯河原には海水浴場もありますし、緑深い山もあります。
旅荘船越から吉浜海水浴場までは、車で10分程度です。
海の家もありますので、食事やシャワーも安心。
また、山の中に身を置きたいと思われる方には、旅荘船越でのお籠りがお薦めです。
緑を眺めながら温泉に浸かる至福のひとときをお楽しみ下さい。

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黄花菜

「FM熱海・湯河原」出演

突然ですが、明日ラジオ放送「FM熱海・湯河原」に出ることになりました。
7月20日午後1時から15分の生放送です。
周波数は79.6、番組名は「真理子のマイタウン 湯河原を歩く」です。
我が町・湯河原をこよなく愛する私としましては
どこを紹介しようか、何を話そうか、一生懸命考えています。
とにかく15分という短い時間の中で、湯河原の魅力を伝えなくてはなりません。
ましてパーソナリティーの車谷真理子さんとの掛け合いです。
私が一方的に好きなことを喋るわけにもいきません。
録り直しのきかない生放送、さてどんなことになるでしょうか。

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サルビア

浴室の「これなぁに?」

昨日・一昨日のブログに掲載した、旅荘船越の浴室の写真に質問がありました。
「木の腰掛けが大と小のふたつ置いてありますが何故ですか?」
お答えしましょう。
大きい椅子は身体を洗う時に使用するものです。
そして小さい椅子は湯船の中に沈めて、腰湯をするためのものなのです。
そのために小さい椅子には、真ん中に穴を開け、更に脚の部分に
ステンレスの重しを付け、湯船から浮かんでこない工夫を施してあります。
浴槽内のお湯の張り加減を調節して、自分の背丈に合った高さで
腰湯につかれるのも、部屋付きのお風呂ならではの醍醐味です。
たくさんの人が入る大浴場ではそうはいきません。
やはり温泉に来たら源泉が少し冷めるまで待って、長くゆっくり入りたいもの。
ぬるめの温度で肩までつかるも良し、腰湯で汗が出るまで入るも良し、
「自分だけの温泉」は自分の思うがままです。
尚、湯舟に沈めた椅子は、浴槽からあがる際の踏み台としても
重宝がられています。
特にご年配の方からは「この椅子に足を乗せて手摺りにつかまると、難なく
あがれて便利です」喜ばれております。

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浴室には大・小ふたつの椅子

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小さな方は浴槽に沈めて使う

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腰湯用として、また踏み台としても

古代檜のお風呂

昨日のこのブログに、思いのほか、たくさんの反響をいただきました。
「たとえ小さなお風呂でも、本物の温泉に入りたいと思った」
「旅荘船越は別荘代わりの宿なので、大浴場がないことも魅力のひとつ」
といった肯定的な御意見が多かったのでホッとしました。
そこで今日は、実際にお客様から寄せられた、旅荘船越の“自分だけの温泉”への
賛辞を御紹介させていただきます。
「手術の傷跡なども、人目を気にせずに温泉につかれるのが嬉しい」
「大浴場に入るために、遠くまで歩かないで済むのが有難い」
「自分の部屋にあるので、いつでも好きな時に好きな温度で入れる」
「カップルや夫婦で一緒に入れて楽しい」
「一人出るごとにお湯を捨て、新しく入れ直せるので、常にきれいな温泉に入れる」
「他人に気遣いがいらないので、浴槽の中にタオルを入れようが頭までつかろうが
思いのままだ」
「年をとると足元がおぼつかなくなるので、大浴場で滑るのが心配だが、部屋風呂は
狭い中にも手摺りがついていて安全だ」
他にもまだまだあるのですが、主なものを書かせていただきました。
もうひとつ、旅荘船越のお風呂で、お客様に喜ばれているものがあります。
それは浴室の材料となっている「古代檜」という木材です。
浴室の壁、天井、そして浴槽そのものが全て「古代檜」で造られているのです。
「古代檜」と「普通の檜」の違いについて説明しますと、「古代檜」とは
樹齢2000年以上の巨木が、自然倒木の後150年以上経過した檜を指します。
長い間風雪に耐えているため、木材の中の檜の精油分が非常に充実しています。
旅荘船越では「古代檜」の節の無い部分だけを使用しています。
これを浴槽に用いることにより、ヒノキチオールという薬用成分の働きが
身体の新陳代謝や血行を促進してくれるのです。
湯河原温泉の泉質と「古代檜」の精油分とは大変相性が良く、それぞれの成分の
相互作用によって、一石二鳥の保健効果をもたらしてくれます。

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材質は全て節の無い「古代檜」

大浴場の無い温泉旅館

旅荘船越には大浴場がありません。
それは、湯河原の温泉に惚れ込んだ私の父(故人)が
泉質を守るために敢えて大浴場を作らなかったからです。
大浴場を作れば当然のことながら、お湯を循環・濾過させたり
消毒用の塩素を入れなくてはなりません。
レジオネラ菌の発生も問題になってきます。
まして大勢の人が入浴すれば,垢や髪の毛で汚れ放題です。
札幌国際大学観光学部で温泉文化論を研究なさっている
松田忠徳教授は「これはもはや温泉ではない」と言い切っておられます。
旅荘船越では、全ての客室に源泉を引き込み、蛇口をひねれば
湯河原の天然温泉が溢れ出るようになっています。
もちろん、循環・濾過・加水・加温は一切していません。
以前、松田教授が奥様とご一緒に当館に御宿泊された際に
「温泉はやはりこうあるべきだ。私は大浴場しか無い温泉旅館は
たくさん知っているが、大浴場の無い温泉旅館は珍しい」と
仰られました。
私は松田先生の大ファンですので、その日は温泉についての様々な
レクチャーを受けることが出来、大満足でした。
時々「大浴場が無い」ことを理由に宿泊をキャンセルしてくる
お客様がいらっしゃいますが、たまには“温泉博士”折り紙つきの
“本物の温泉”を部屋付き風呂で満喫されるのも良いのではないでしょうか。

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部屋付きのお風呂

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蛇口から出るのは源泉100%

梅雨明け

昨日、関東地方が梅雨明けをしました。
梅雨の間は、私の鬱病が悪化してしまうためか
とても長く感じられたのですが、実際には
平年よりも6日早く明けたそうです。
いよいよ夏も本番。
じりじりとした太陽の照りつける毎日は、身体にはこたえそうです。
けれど鬱病には太陽が何よりの薬です。
たくさんたくさん陽の光を浴びて、脳内のセロトニンに
活発に働いてもらうことにします。
そして、旅荘船越にお泊り下さったお客様に、毎朝心からの笑顔で
「ありがとうございます。またお越し下さいませ」と
ご挨拶が出来るようにしたいと思います。

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朝顔

湯河原で講演会

私の住んでいる湯河原町で、講演会をすることになりました。
7月28日(火) 午後1時からです。
場所は湯河原町商工会館 3階大会議室、
聴講は無料です。
「うつと共に生きて」という演題でお話をさせていただきます。
企画して下さったのは、湯河原駅前にある書店「ポップイン文昭堂」さんです。
後援には、湯河原町教育委員会・(社)湯河原温泉観光協会・
湯河原温泉旅館協同組合・湯河原温泉おかみの会・湯河原町商工会・
湯河原町商工会婦人部・生活サポートセンターやすらぎ・
精神保健福祉ボランティアグループとまり木、の皆さんがついて下さいました。
鬱病とパニック障害を抱えながら生きている私の日常を伝えることで
同じ病気の方とそのご家族や友人達に、何か心に残る“支え”を感じて
いただけたなら、それに勝る喜びはありません。
また、この病気に関係の無い方にも是非お聞きいただき、病気への理解を
深めていただけたらとも思っています。
日時は夏休みの真っ只中です。
どうかご家族連れで聞きに来て下さい。よろしくお願い致します。

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駅前に貼ってある企画者手書きのポスター

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企画は「ポップイン文昭堂」さん

Tシャツ

Tシャツを1枚買いました。
普段は服をほとんど買わない私ですが、色とイラスト、そして何よりコメントに
一目惚れしたのです。
鮮やかなオレンジの地に白で海亀が3頭、「いつもまえむき」という文字が
入っています。
これを着ていれば、何だか元気が出そうな気がしての衝動買いでした。
ただしちょっとした遊び心で、背中の上の部分には海亀のお尻とともに
「ときどき、うしろむき」の文字が・・・。
そんなところも“鬱なりに生きている”自分にぴったりのようで
とても気に入っています。

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お気に入りのTシャツ

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前面

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後面

ラッキー・ヱビス

地元湯河原のタクシーの運転手さんに嬉しいことを聞きました。
先日、旅荘船越からお帰りになられたお客様をお乗せした際に
「久し振りに女将さんの元気な顔が見られて良かったねぇ。
女将さんのあの笑顔が見たくて船越に来ちゃうんだよね」と話されていたと
いうのです。
やっぱり元気だと良い事があります。
こんな日は「ラッキー・ヱビス」で乾杯です。
ヱビスビールの壜のラベルが、数百本に一本の割合で違っているのを
ご存知ですか。
普通のラベルの絵では、恵比寿様が釣り上げた鯛を一尾だけ抱えているのですが
「ラッキー・ヱビス」のラベルでは、恵比寿様が背負っている魚籠の中にも
鯛が入っているのです。
滅多にお目にかかることの出来ない「ラッキー・ヱビス」ですが
先月、ビール好きの私のために、旅館組合の理事長の奥様が下さったのです。
いつ飲もうかと考えていましたが、今夜が最適のような気がしてきました。
これからもお客様に私の存在そのものを喜んでいただけるよう
毎朝元気に出勤できることを祈りながら、杯をあげましょう。

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右が普通のヱビス、左が「ラッキー・ヱビス」

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鯛が一尾

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鯛が二尾

良い波が来た!

前向きな姿勢と褒められたからでしょうか。
それとも全国女将サミットでパワーを頂いてきたからでしょうか。
はたまた7月の献立がお客様に評判が良いからでしょうか。
このところ私はとても元気です。
毎朝和服を着て、ご宿泊のお客様をお見送りしています。
鬱病は良い波と悪い波が交互に押し寄せてくるものだと、以前この
ブログにも書きました。
今の私は良い波に乗ってサーフィンをしている気分です。
何といっても、直接お客様にお目にかかりお話をし、お写真にご一緒
させていただく喜びは言葉に表せないほどです。
旅館の女将をやっていて幸せを感じる瞬間です。
この波がいつまでも続くよう祈りながら、毎日を過ごしています。

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ルピナス(別名 ノボリフジ)

手作りポップ大活躍

知人が「梅一夜*冬ほたる」の書店営業用のポップを作ってくれました。
その気持ちと手作りのポップが嬉しくて、早速、小田原市の書店さんに
持ち込み、何とか使ってくれるように頼んで来ました。
小田原の心療内科を受診した際に、それぞれの書店さんを覘いて見たら
皆さん利用して下さっていました!
どこも平積みにして、知人の作ったポップが立ててありました。
それを見て、私は本当に幸せ者だと思い、ついつい涙ぐんでしまいました。
感謝、感謝です。

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知人の作ってくれたポップ

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有隣堂さん

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三省堂さん

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LIBROさん

献立替え

旅荘船越は、毎月料理の献立を替えていますが
昨日から7月の献立になりました。
板長・木村のこだわりは“常に季節感を出すこと”。
今月は、まだ梅雨明けきらぬじめじめとした気候から
蒸し暑くなり始め、食欲の落ちやすい時期です。
そんな時にも箸が進むような料理が並びました。
私も試食の段階で完食してしまいました。
その一部をご紹介させていただきます。
美味しい食事と癒しの温泉、そして私達スタッフの笑顔が
皆様をお待ちしています。
お得なプランも揃い踏みです。
どうぞ旅荘船越のホームページをご覧の上、ご予約下さいますよう
お願い申し上げます。

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先付け 

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前菜

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御椀

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御造り

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冷やし鉢

全国女将サミットの報告

二日間にわたる「全国女将サミット」が終わりました。
今年のテーマは「観光の原風景・日本の宿を見つめ直そう」でした。
旅館は日本の伝統文化のひとつです。
それを見つめ直し、時代にそぐわなくなった部分を捨て
新しいものを取り入れていくと同時に、若い人達に伝統文化の素晴らしさを
伝えていくにはどうしたら良いのかについて考え、ディスカッションを
してきました。
講演の講師にも伝統文化の担い手である、歌舞伎俳優の坂東玉三郎氏を迎え
和服の着こなしや、美しい所作についてお話いただきました。
その中で私にとって特に印象に残ったのは「一度自分の身についたものは、
たとえ剥ごうとしても身についたままでいる」ということと
「自然体でいることが一番美しい」ということでした。
私は若女将時代を入れますと、26年間女将一筋で来た人間です。
その間に身につけたことが、全て自分の肥しになっていると思うと
これからの仕事にも張り合いが出てきました。
また、自然体でいようとすればどうしても、鬱病とパニック障害の話題は
避けて通れません。
今までに何人かの方に言われて来た
“女将がいつも元気でいなければ、お客様をもてなすことは出来ない”という
考え方も勿論間違ってはいないと思いますが、そのために無理をし
隠し事をし続けるのは、やはり「美しい」とはいえないのではないかと感じました。
更に「自分が源泉」というテーマの勉強会では、「経営者は全ての結果は自分が
創っているという立場をとること。但しこのことは全て自分の責任ということとは
違う。要するに自分が変われば結果も変わる」ということを学びました。
夜の懇親会は、金子一義国土交通大臣、本保芳明観光庁長官をはじめ
たくさんのご来賓にご臨席を賜り、終始和やかな雰囲気のパーティーとなりました。
たった一泊二日のサミットでしたが、私には大いに得るところのある
女将の集いでした。

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全国から集まった女将達

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“開会の辞”を述べる私

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講師の坂東玉三郎氏

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熱心に講演に聞き入る

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勉強会の様子

全国女将サミット開幕

いよいよ明日、明後日と全国女将サミットが開かれます。
会場は東京のグランドプリンスホテル赤坂です。
日本中から旅館の女将さんが集まり、勉強と交流の場として
盛り上がることでしょう。
特に今年は第20回という節目の年です。
及ばずながら私も、運営委員会の副委員長として
精一杯頑張ってきます。

第20回女将サミット

読売新聞で紹介される

「前向き」な姿勢

ある友人から「あなたはいつも前向きでエライね」と言われました。
私にとっては、とても意外な褒め言葉でした。
思わず「鬱病の私が前向き?」と聞き返しました。
すると友人は「鬱病かどうかなんて関係ない。健康な人にだって
“旅館の女将さん”は大変な仕事だと思う。あなたはそれをこなしながら
湯河原町や神奈川県のために地域のリーダーとして頑張っている。
全国女将サミットの運営委員だってもう何年もやってる。
そのうえ更に、鬱病の人達への応援歌として小説を書き講演をこなす。
常に前へ前へ進んでいる姿勢は凄いと思う」とこたえました。
私はいつも旅荘船越の支配人から「女将さんはネガティブ・シンキングですよね。
もっとポジティブ・シンキングになったほうがいい」と言われていますので
自分が前向きな人間だとは思ってもいませんでした。
そこで支配人に、友人の言葉を伝えると
「コップの中に水が半分になった時に“まだ半分もある”と考えるのが
ポジティブ・シンキング、“もう半分しかない”と考えるのがネガティブ・
シンキングです。女将さんは間違いなく後者です。けれどそこで終わるのではなく
また半分を注ぎ足す努力を惜しまない。そこが前向きなんです」と言われました。
今まで「前向きな姿勢」と「ポジティブ・シンキング」を同じものだと
思っていた私は、何と愚かだったことか!
二人に感謝すると同時に、自分の生き方を肯定されたようで
とても嬉しくなりました。
皆さん、ここに前向きな鬱病患者が確かに存在しています。

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コリウス

興味の喪失

「ポップス界の王様」マイケル・ジャクソンさんの急死から一夜明けましたが
私は相変わらずの鬱状態のため、テレビを観ることも新聞を読むことも
出来ず、その情報を知る術さえありません。
特別なマイケルファンではありませんでしたが、私より4歳上の彼の音楽には
触れる機会がたくさんありました。
「スリラー」はもちろんビデオも観ましたし、「ウィ・アー・ザ・ワールド」の
レコードも持っています。
来日公演時のニュースは連日テレビで流れ、ダンス好きや流行物好きの友人達は
彼の「ムーンウォーク」を真似するのに余念がありませんでした。
そんな時代を生きてきたのに、彼の死に何の興味も湧かないのです。
鬱病とはそういう病気なのです。
ただ彼の安らかな眠りだけは祈らずにいられません。
黙祷ー。

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薔薇の涙・・・マイケルに捧ぐ

波のように

鬱病はまるで波のようです。
憂鬱でどうにもならない状態が押し寄せて来たかと思うと、いつの間にか
また引いて行くのです。
それが何度も何度も繰り返され、寄せては返し寄せては返していきます。
かなり精神的に負担のかかる病気です。
私はこのところ悪い波に呑み込まれもがいています。
もがけばもがくほど水を飲んでしまい、溺れかけます。
少しずつ波が引いて行くのを待つしかありません。
溺れて死なないように、何とか波乗り上手にならなければ・・・。

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トウガラシ

何もかも・・・

朝からひどい鬱です。
頭は重く、気分は憂鬱で、身体はだるくて、布団から起き上がることが出来ません。
当然、仕事へも行かれませんでした。
こんな日は本当にどうしようもありません。
何もかも我慢ができないほど嫌気がさしています。
誰も彼もが羨ましくて憎しみすら感じます。
この世に自分ほど駄目な人間はいないと落ち込んだまま
這い上がることが出来ません。
鬱病にかかった8年前から、人生をやり直したいです。

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睡蓮と雨

植木の剪定

数日前から旅荘船越には、植木屋さんが入っています。
船越は中庭を囲むように六つの客室が配置されていて、更にその客室の外側を
数百本の植木が取り囲んでいます。
文字通り「緑の中にひっそりと佇む隠れ家」的な旅館です。
ですから一年に二度、この時期とお正月前に植木屋さんを頼み、庭木の手入れを
してもらっています。
何しろ、旅館全敷地には千本以上の植木が植わっていますので
植木屋さんが3〜4人がかりで毎日入っても、一ヶ月では終わりません。
毎年のことなので色々と大変ではありますが、一度でも手を抜くと木々は
その形を変える程に、好き勝手に伸びてしまいます。
旅館が「庭の植木」ではなく「雑木林」に囲まれていたのでは笑い話にも
なりません。
中でも一番手がかかるのが松の木です。
伸びすぎた新芽の半分位を、ひとつひとつ手で摘み取っていきます。
これを緑摘みといいます。
新芽が三つ芽になっている場合もあり、このときは真ん中の芽は元から取り
両側の芽を半分摘み取ります。
他にも、槇やヒマラヤ杉のように高さが10メートルを超えるものは
クレーン車を使って剪定するので、お客様のご利用状況に合わせて日程を
調節しなければなりません。
本当に手がかかりますが、それでも私は植木が大好きです。
お客様に「あの木は何という木ですか?」と訊ねられ、そこから話がはずむことも
度々あります。
それにしても、植木と人間は良く似ています。
伸びすぎた枝を切り、古い葉を落とし、新しく出てきた勢いのある部分を
上手に育て、バランスの良い形を作っていきます。
人間の性格形成と全く同じだと思うのは、私だけでしょうか。

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3〜4人の職人さんが同時に入っても一ヶ月以上かかる仕事

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松の緑摘み

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段々とさっぱりした姿になる

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崖沿いのつつじの刈り込み

「ブログを書く」ということ

最近このブログへの「拍手コメント」が増えました。
有難いことです。
私はブログを始めるときに「コメント」欄と「トラックバック」欄を
敢えて設けませんでした。
何故なら、もしも悪意のあるコメントや批判的なコメントが多く寄せられたら
鬱病患者である私の精神状態に非常に良くないと判断したからです。
当然ブログを続けることも出来なくなるでしょう。
但し「拍手コメント」の欄だけは作りました。
手の形をした絵文字をクリックすると「拍手」がカウントされ
「コメント」が書けるようになっています。
これならば、気に入らない内容に拍手をする人はいないでしょうから
コメントも悪戯っぽいものは来ないだろうと考えたのです。
お蔭様でその通りに来ることが出来ました。
そしてここへきて、励ましや共感の「拍手コメント」が倍増してきたのです。
本当に有難いと思っています。
ところで6月に入ってから、毎日ブログを更新出来ているというのも
今までからみると異例のことです。
本当に体調の悪い日にはブログも書けませんので、毎日書けているのは
具合の良い証拠かも知れません。
とはいえ「自殺願望」について書いてみたり、「体調不良」を訴えてみたりして
おりますので、決して具合の良い証拠とは言えませんね。
実際、今日も梅雨が戻って来たのに合わせるように鬱が戻って来てしまい
半日寝たきりでいます。
それでもこうしてブログを書いているのは、自分を鼓舞するためと
「拍手コメント」が嬉しいためだと思います。
明日も明後日も、その後もずっとブログが書けるといいのですが・・・。

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旅荘船越に咲く梔子

梅雨の晴れ間

今日は梅雨の晴れ間で快晴です。
私は鬱病による早朝覚醒のため、前夜何時に寝ても早朝4時〜5時には
目が覚めてしまいます。
これは本来ならばかなりつらい症状の一つなのですが、今朝は素晴らしい朝焼けを
見る事が出来たので、何だか得をしたような気分です。
8時30分からはラジオ“FMヨコハマ”の「神奈川モーニングカフェ」という
番組で、幼馴染で俳人の黛まどかさんが3分近くに亘り「梅一夜*冬ほたる」に
ついてお話をしてくれました。
この本は、短編小説「梅一夜」と「冬ほたる」の他に、黛さんとの
「おさななじみ対談」が収められた三部構成になっているためです。
番組の中で彼女は「対談で洋子さんが言った、病気は神様が下さった白紙の
手紙だという言葉に感銘を受けました。鬱病になったおかげで、それまでには
見えなかったものが見えるようになった、だから感謝していると。
無理をするのではなく、病気を受け容れながら生きていくことが大切なんですね」と
言ってくれました。
嬉しかった、本当に嬉しかったです。
まどかさんにすぐに御礼を言いたいけれど、彼女は今フランスに滞在中なので
手紙を書きました。
私の心も“梅雨の晴れ間”のように爽やかになりました。
素敵な一日が始まりそうです。

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今朝4時半の空

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見事な朝焼け

橋本病

私は鬱病とパニック障害の他に、橋本病にも罹患しています。
橋本病とは、のどぼとけのすぐ下にある甲状腺の病気です。
甲状腺は蝶々が羽を広げたような形をしていて、小さいけれど
代謝の働きを正常に保つうえで、非常に大切な役割を果たしています。
甲状腺に機能障害が起き、甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気が橋本病です。
甲状腺ホルモンは食物をエネルギーにかえ、体内の新陳代謝を
促す働きをしています。
ですからこのホルモンの分泌が低下すると、エネルギーが不足してしまいます。
エネルギーが足りなくなると、体内で熱を燃やすことが出来なくなるので
全身がむくんで体重が増加します。
私は橋本病にかかってから数年の間に、17キロも体重が増えてしまいました。
もちろん専門の病院で定期的に検査を受けており、
不足している甲状腺ホルモンを補うための薬も飲んでいます。
それでも一朝一夕に治る病気ではなく、いわゆる慢性病のため
私の場合は代謝が極端に落ちたままのようです。
17キロも太ってしまうと、はっきり言って別人です。
久し振りに会った人は相当驚きます。
ほとんどの人が驚きの余り、声を大にして聞いてきます。
「どうしたの? そんなに太っちゃって!」
いくら46歳とはいえ一応女性の身としては、この質問はかなりこたえます。
けれど自分ですら「これは私ではない」と思う程に太ったのは事実ですから
文句の言い様がありません。
「実は橋本病で・・・」と説明するのがやっとです。
中には「あなた、今までが痩せすぎていたのよ。女将さんらしい貫禄が出たわよ」と
言ってくれる人もいますが、恐らく単なる慰めでしょう。
昔のフランスに生まれていれば、ルノワール画伯に「美しい」といって
裸体を描いてもらえたかもしれませんが、現代の日本に生きている私には
かなり情けない状況です。

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ベゴニア

食い止めたい!鬱病による自殺

昨日の読売新聞に、鬱病による自殺者について書かれていました。
日本の自殺者は1998年に3万人を超えてから、昨年まで
11年連続で3万人以上。
自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)はアメリカの2倍、
イギリスの4倍だそうです。
2008年の自殺者3万2249人のうち、原因の最多は健康問題で
このうち鬱病が42%を占めていたという統計が出ています。
実際に鬱病を患い、自殺未遂も犯した私には、見逃せない数字です。
今も時々死にたい気分に襲われますが、何とか乗り越えています。
(5月14日のブログ「自殺願望」をお読み下さい)
湯河原温泉の旅館組合の理事長さんから
「平野さん、いつ会っても元気そうで、鬱病なんて信じられないよ」と
言われたことがありますが、それは至極当然なことで
具合の悪い時は自宅に引き籠って呻いているので、人には会わないからです。
つまり、鬱の症状が和らいでいる時だけ他人と接するので
いつも元気だと思われるのです。
私がそう説明すると、理事長さんは“目から鱗が落ちた”ように
納得して下さいました。
理事長さんの奥様はとても優しい方で、私が引き籠っていると
ケーキを持って自宅を訪問してくれたりします。
けれど病状について話をするわけでもなく、雑談をしてお帰りになります。
いつも何かと気遣って下さいますが、それが実にさりげなく
「あなたのことを心配しているのよ」という押し付けがましさがないのです。
鬱病患者にとって一番有難いパターンです。
夫といい、旅荘船越の支配人といい、親友といい、彼女といい、
私は本当に人に恵まれています。
だから今日まで生きてくることが出来ました。
感謝しても感謝しても、し足りることがありません。
全ての鬱病患者に、理解と優しさと温かな無関心が注がれれば
自殺にまで追い込まれる人は確実に減ると思います。
一日も早く、そんな社会が来ますように!

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出版祝に贈られた花

「全国女将サミット」迫る

女将のための 女将による 女将の会議
「第20回 全国女将サミット」の開催まで、後2週間を残すのみとなりました。
7月1日・2日の一泊二日、会場は東京のグランドプリンスホテル赤坂です。
私はこのサミットの運営委員会で副委員長を務めていますので
昨年の7月から1年間、開催に向けての準備に追われました。
講演をして下さる方を探すことから始まり、
4つの分科会のテーマを決めて内容をまとめる作業、
スポンサーになって下さる企業集めの広告取り、
そして最後に出席してくれる旅館の女将達を募りました。
なにせ今年は第20回、つまり女将サミットが始まってから満20年という
節目の年です。
運営委員長も、石川県和倉温泉の加賀屋の女将さんが務めていらっしゃいます。
加賀屋さんといえば「日本一の宿」として広く知られている旅館です。
委員達もその方の陣頭指揮の下、自ずと力が入りました。
けれど世相は“平成の大不況”の真っ只中です。
出席したくても出来ない事情のある女将さんが大勢いらっしゃることを知り
私の胸も強い痛みを感じました。
今日はこのサミットについて、読売新聞の取材を受けました。
副委員長になって3年目の私の思いを熱く語らせていただきました。
新聞に記事が掲載されたら、また報告させていただきます。

女将サミット2008−1

昨年の女将サミット 
前列、黒一点は冬柴元国土交通大臣

スキャナー写真 016

昨年の運営委員
一番顔が小さいのが私(?)
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