福岡県後期高齢者医療広域連合設立に絡み、贈賄容疑で逮捕された県町村会長の山本文男容疑者(84)=添田町長=の会長辞任を求める声が県内の町長から相次いでいる。事件発覚後、町村長セミナーなど非公開を貫き、山本会長の責任を問わない理事会にも批判が続出。こうした「体質」の抜本改革の必要性を訴える意見も強まっている。
西日本新聞の取材に、三浦正・篠栗町長は「道義的な責任があり、辞意を表明すべきだ」と主張。中嶋裕史・須恵町長も「長としての道義的責任は免れない」と指摘、手嶋秀昭・川崎町長も「いくら実績があっても批判は免れない」と語った。
山本会長の逮捕後、初の理事会が5日に開かれ、会長代行に決まった副会長の山本康太郎・小竹町長(74)は「手本になりこそすれ、悪いことはしていないと今でも思う」と山本会長を擁護した。この発言に三浦・篠栗町長は「町村会を代表する意見と思われては困る」と憤慨。永原譲二・大任町長も「どんな理由でも金を渡すことは悪いと明言すべきだった」と異議を唱えた。
こうした対応については、波多野茂丸・芦屋町長が「セミナーなど公にできるものは、できるだけオープンにすべきだ」と明言。理事を務める石川潤一・大木町長も「説明責任を果たしているとはいえない状態」との認識を示した。今冨寿一郎・吉富町長は「26日予定の総会前に全町村長を集めた緊急総会を公開で開き、今回の問題を討議すべきだ」と提案した。
県町村会事務局が入る県自治会館(福岡市博多区)1階にある山本会長の胸像。「町村自治確立と存続のために多大の貢献をされている」などとして2004年2月に県町村会が建立したと刻まれているが、事務局は「当時の事務局長に聞かないと、建てられた経緯や資金は分からない」。今冨・吉富町長は「捜査段階で本人が容疑を認めており即刻撤去すべきだ」と主張している。
町村会を揺るがしている汚職事件は昨年11月、県町村会幹部らが事務用品を架空請求し金をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕されたのが発端。副知事だった中島孝之容疑者(67)=収賄容疑で逮捕=の辞任に発展したが、山本会長は事件の説明をしないまま2日に逮捕された。
=2010/02/10付 西日本新聞夕刊=