警察の取り調べの比較
取り調べに対する両者の主張
今回の事件で、ひき逃げ容疑の立件には2等軍曹の供述が鍵となるが、2等軍曹は取り調べの全面可視化(録音・録画)や弁護人(法務官)の立ち会いがない聴取には応じないとしている。これに対し県警は、法整備がないとして、可視化は認めず取り調べを進めている。
逮捕後の取り調べは、受忍義務がある刑事訴訟法に基づいて2等軍曹の事情聴取が8日、始まったが、弁護人によると、2等軍曹は「(取調官には)弁護人の立ち会いがなければ供述拒否権を行使すると伝えた」と話すなど、黙秘を続けているという。
可視化について、検察庁は冤罪(えんざい)や無罪判決などを受け2008年から試行を始めたが、対象は裁判員裁判に関する事件に限る上、全過程ではなく自白調書を読み聞かせる場面など一部にとどまっている。弁護人の立ち会いは認めていない。
一方、アメリカは逮捕後の取り調べには判例法上、弁護人立ち会いが認められている。録音・録画も多くの州で認められ、イリノイ州では05年に可視化が法律で定められた。日米地位協定では録音・録画の規定はないが、法務官の立ち会いは容認されている。
日米地位協定では、04年の運用改善の合意で「米軍人容疑者の起訴前身柄引き渡しを日本が求める場合、取り調べに米側捜査官の同席を認める」と合意した。ただ、今回のひき逃げ死亡事件は、米側が起訴前の引き渡しで好意的考慮を払うとした「凶悪犯罪」に該当しないと判断されたため、起訴後の引き渡しとなり、米側関係者(法務官)の立ち会いは認められない。
2等軍曹は事件発生から4日後、任意の事情聴取に2日間応じたが、県警作文の供述調書に「ニュアンスが違う」と反発。それ以降の取り調べを拒否し、可視化や一問一答式での取り調べを要求。県警は可視化を認めず任意の出頭を要請していた。
弁護人の高江洲歳満弁護士は「密室で取り調べを行う日本の捜査が問題だ。密室での取り調べは米国で『拷問の名残が残る歴史的遺物』ととらえられている。公正な取り調べのために、可視化や弁護士の立ち会いを進めるべきだ」と指摘している。
(謝花史哲)
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