通貨オプション商品の賠償訴訟、原告企業敗訴

 為替ヘッジを目的とする通貨オプション商品をめぐり、中小企業が銀行を訴えた損害賠償要求訴訟で、ソウル中央地裁は8日、原告敗訴の判決を言い渡した。金融危機に際し通貨オプション取引で損失を出した企業が銀行を訴えた裁判で初の判決として注目される。

 原告のスサン重工業は、不当な通貨オプション取引契約で損失が出たとして、ウリ銀行とシティバンクを相手取り、損害賠償を求めていた。同地裁は「問題の商品は企業が収益を期待できる商品であり、銀行が販売に伴い得る利益がほかの金融取引に比べ過大とは言えない」として、銀行の賠償責任を否定した。

 同地裁はまた、「2007年から08年にかけ、専門家はウォン高を予測していたため、ウォン安という予想外の事態が起きたからといって、誤った商品だとは言えない」との判断も示した。さらに、米ニューヨーク大のロバート・エングル教授(ノーベル経済学賞受賞者)が原告側の証人として立ち、「銀行に有利で不公正な商品だ」と主張したことについても、同地裁は「最悪のシナリオを仮定した発言にすぎない」として退けた。

 今回の判決について、為替ヘッジ被害企業共同対策委員会は「理解できない判決で、直ちに控訴する」との声明を発表した。

 昨年12月までにソウル中央地裁が受理した通貨オプション取引に関する訴訟案件は124件で、その後取り下げられた6件を除く118件は現在審理が進んでいる。

孫振碩(ソン・ジンソク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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