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◆生駒の新市立病院設立計画はどうなるの?
なるほドリ 先月の生駒市長選では、新しい市立病院の設立が大きな争点になったね。
記者 新病院を設立しようという計画は、施設の老朽化などを理由に旧生駒総合病院が05年に閉院したことを受けて始まりました。翌年には、病院設立を公約に掲げた山下真市長が初当選し、設立への動きが一気に進むのではとみられていましたが、医師会や一部の議員が慎重な姿勢をみせ、計画は難航しました。
Q 市はどんな病院をつくろうとしているの?
A 全国の公立病院が経営難に陥っている現状をふまえ、民間医療法人の徳洲会を指定管理者にした市立民営病院の設立を計画しています。市の計画では、新病院は病床数210床で、産婦人科や小児科など10診療科を備えます。近鉄東生駒駅前に地上8階、地下1階建ての建物を建設する予定です。
Q 救急患者の搬送先がなかなか決まらないなど、さまざまな問題があるよね。
A 生駒では昨年11月、人工透析を受けていた男性が七つの病院に受け入れを断られて死亡するなど、受け入れ拒否の事例が相次ぎました。08年の市内の重症患者の搬送は、259人。うち、5回以上拒否されたケースが13件もありました。1回で受け入れ先が決まったのは全体の61・7%で、全国平均の84・3%と大きな差があります。
Q それでも、新病院の建設に反対している人がいるの?
A 塩見俊次・県医師会長は、小児科医が2人しかいない体制では十分な救急医療ができないことや、開院5年目で黒字化するという市の試算に対する不安を指摘し、「将来にわたって安定した医療を提供できる病院にはならない」と警告しています。また、ある議員は「地域の医療機関と連携が図れないのは確実で、本当に市民が求める市立病院にはならない」と慎重な姿勢を崩していません。
Q それなら、今後はどうなっていくのだろう?
A 山下市長は、2月下旬に臨時議会を開き、昨年12月の定例議会で否決された関連議案を再度提出する考えです。先月の市長選では、山下市長が徳洲会案に反対する他候補に1万1000票以上の差をつけて再選されています。この結果がどう影響するのか、今後の市議会の動きが注目されます。<回答・岡奈津希(奈良支局)>
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毎日新聞 2010年2月10日 地方版