ナトリウム漏れ事故で1995年12月以来停止している高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市、出力28万キロワット)について、経済産業省原子力安全・保安院は10日開いた安全性確認検討会で、14年ぶりの試運転を認める方針を決めた。事業主体の日本原子力研究開発機構が提出した安全確保に関する報告書を「妥当」として、近く、内閣府原子力安全委員会に報告する。
原子力機構は今後、県や市の地元了解を得る手続きに入る。福井県が再開の条件に挙げているもんじゅの耐震安全性の再評価は、保安院の作業部会で審議が大詰めを迎えている。西川一誠知事は、2月22日に開会する県議会での審議を経て、運転再開の是非を表明すると見られる。
敦賀市の河瀬一治市長は今月の会見で「国が太鼓判を押せば、そう時間をおく必要はない」と早期に了解の判断をする考えを示しており、早ければ3月にも運転再開が実現する見通し。
もんじゅは商用原発でできた使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを再び燃料として使う、核燃料サイクル政策の本命となる施設。理論上、使った以上のプルトニウムが得られるため「夢の原子炉」と呼ばれ、構想は1950年代にさかのぼる。
91年に完成し、94年に初臨界。95年に送電を開始したが、3カ月余り後に2次冷却材のナトリウムが漏れ火災が起きる事故が起きた。これまでに建設と開発、運転に約9千億円が投資された。
国はもんじゅで得られたデータを生かして、実証炉の概念設計を2015年までに終え、2050年までに商業炉を開発する計画で、来年度予算案にも運転費と合わせて369億円を計上している。