太極哲学にはまった大学教授、ユ・ハンテさん

 

ユ・ハンテ教授は「大学で3学期の間、太極をテーマに講義を行ったところ、反応がよかった。若者たちに愛国心を強要するのではなく、太極の精神を分かりやすく伝えるほうがより効率的だ」と語った。/写真=イ・ドクフン記者

淑明女子大デザイン学部のユ・ハンテ教授(59)は、「太極」のデザインにはまって30年だ。通勤途中のバスの中で太極のプラスチック模型を組み立てている間に乗り越してしまうことはしょっちゅうで、数日前には太極博物館を建てると宣言した。太極をテーマにデザインした作品を手に、世界一周することも考えた。銀座アートスペースで8日から三日間にわたり開催される「太極ポスター展示会」は、その成果の一つだ。

 「1980年代初めの米国留学時代、デザインの教材に、太極旗(韓国国旗)が実に14ページにわたって紹介されていた。太極というアイコンに隠されている哲学を知ったとき、大きな衝撃を受けた。こんな大きな思想を持ったアイテムが国旗に入っているのに、なぜ軽視してきたのか。その意味を明らかにし、広く伝えていきたいと思った」

 韓国に帰国したユ教授は、太極に関する研究を始めた。東洋の伝統哲学をはじめ、韓国の古代から近代史に至るまで隈なく調べ、慶州の感恩寺に足を運び、石造基壇に彫られた太極の模様もチェックした。

 「陰と陽の調和が万物生成の源という太極思想は、先祖の精神と相通ずるところがあった。和解と統合を強調する元曉(ウォンヒョ)の『円融会通』思想ともかかわりがある。太極は中国にその源流があると言われているが、あれほど偉大な思想に創始者などいないはず。われわれは国旗に太極が入っている民族だ。それなら、われわれのものとしなければならない」

 ユ教授は1986年、太極模様をさまざまな形にアレンジした作品を手に、世界15カ国を訪問する計画を立てた。しかし、ソウル、大阪、パリを回ったところで中断した。国家のためと思い始めたことだが、支援もなく、私財を投じて行うには限界があった。大阪の展示会では、在日同胞らが殺到し太極の前で涙を流し、パリでは現地の人が訪れ、「風変わりだ」「奥ゆかしい」と称賛した。ユ教授は「ソウルでの反応が最も冷めていた」と語った。「太極旗の太極模様はわが民族の分断と分裂を象徴している」という観覧客の自己卑下には呆れたという。ユ教授は「大学で3学期の間、太極をテーマに講義を行ったところ、反応がよかった。若者たちに愛国心を強要するのではなく、太極の精神を分かりやすく伝えるほうがより効率的だ」と語った。

 「糟糠(そうこう)の妻が大切な存在であるにもかかわらず、共に暮らす間はそのありがたさを忘れてしまうように、太極も、どこでも見られることから、人々はその深い意味を省察しないのではないだろうか。太極の象徴は奥深いものだ。陰と陽が互いに連結している様子は、それ自体が統合を象徴している」

 ユ教授の最終目標は太極博物館を設立することだ。東洋の思想に心酔した外国人が訪れたくなるような博物館を建てたいとの希望を抱いている。ユ教授は最近、束草市長を訪れ、何度も説得を重ねた末に、2500坪(約8200平方メートル)の私有地を無償で手に入れた。

 「教授らが退職して博物館を建てようとすれば、家庭不和が生じるだけ。わたしも妻の顔色をうかがいながら、月給を少しずつ貯金しているが、博物館を建てるのには資金が足りない」と話すユ教授だが、最近、財団法人を結成し、「太極博物館」の商号登録も終えた。

キム・ナムイン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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