民主党の枝野幸男元政調会長を首相補佐官に起用する人事が約2週間たなざらしになっている。鳩山由紀夫首相は7日に「彼が適任」と表明したが、その後4回の閣議では議題になっていない。藤井裕久前財務相の辞任に伴い、国家戦略担当を兼務することになった仙谷由人行政刷新担当相を補佐する狙いだったが、たなざらしは仙谷氏の権限強化を警戒する平野博文官房長官の意向、との見方も出てきた。
仙谷氏は15日、首相と菅直人副総理に「早くしてほしい」と直談判した。行政刷新会議関係者は「枝野氏の補佐官起用は、国家戦略担当相兼務の条件だった」と漏らす。
首相は7日の発言を、19日には「副大臣、政務官の増員(法案)が決まった時に、そこでも頑張ってもらいたいと思い、時間がかかっている」とトーンダウンさせ、20日には「詳細は承知してない」と距離を置いた。
官邸関係者の間では「平野さんが(枝野氏と距離のある)民主党の小沢一郎幹事長を勝手に気遣ってるのではないか」「仙谷・枝野ラインに(平野氏の)仕事を奪われると嫉妬(しっと)してるのでは」との憶測も出始めた。当の平野氏は20日の記者会見で「変な意味で人事が止まっていることはまったくない」と否定し、「副大臣は国会答弁できるが、補佐官は答弁できない。それもしん酌し、全体を見極めて人事を出す」と述べた。【田中成之】
毎日新聞 2010年1月20日 21時34分