【コラム】誰が日航を駄目にしたのか(下)

 しかし、消費者は割高な日航を捨て、安くてサービスが良い大韓航空やアシアナ航空を選んだ。地方に住む日本人旅行客が欧州に向かう場合、日航では平均17万円掛かる。しかし、日本の地方空港から仁川を経由し、大韓航空、アシアナ航空を利用した場合、12万円もあれば十分だ。

 旅費にこれだけの差が出るのは、日航を利用した場合、地方空港から羽田に飛んだ後、バスや電車で成田空港まで移動しなければならないためだ。日航を使うと割高な上に時間もかかる。日航は価格競争力で大韓航空に劣り、羽田・成田両空港は効率性で仁川空港に押された。

 労組も日航破たんの要因だった。日航には八つの労組がある。JAL労組のほか、乗務員労組、操縦士労組などが利権争いを繰り広げ、賃金や福利厚生費はどんどん膨らんだ。操縦士が出退勤時に呼び出しタクシーを利用できるとした条項まで、団体協約に含まれていた。

 日航の破たんは、表面だけ民営化した企業が官僚や政界に振り回されるとどうなるかを示す好例だ。韓国でも最近、KB金融持株の会長選任をはじめ、似たような事例が相次いでいる。内部革新と強いリーダーシップが伴わない民営化は深刻な副作用を生むことになる。

 韓国にも選挙対策用の空港がある。需要もない場所に空港を建設する公約を掲げた政治家は、次の選挙で必ず落選させなければならない。

金泳秀(キム・ヨンス)産業部長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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