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教育現場レポート
暗黒教室

須賀康

「善人の顔で嘘をつく」

同級生たちの話は、匠の自殺当日だけにとどまらなかった。「匠はいつも一方的に田中先生から叩かれていた」「もめ事があって、匠がなにか説明しようとしても田中先生は耳を貸さず、他の子の話ばかり聞く」と、田中教諭が日常的に匠を目の敵にしていたという印象を持っている同級生もいた。後に和子が田中教諭に問いただしたところ、教諭自身も「匠君は言いやすかったから」と答えている。
確かに匠は悪ふざけをすることがあったし、担任の言うことに反発することもあった。しかし、所詮は子どものすることである。田中教諭のようなベテランであれば、その対処方法は充分心得ていたはずだ。教室というのは、限りなく「密室」に近い。教師の存在は絶対で、「密室」のなかで行われる暴力は教育的指導という名の下に正当化される。もし、いたずらをした子どもの胸ぐらを大人が掴み上げ、押し倒し、腕をねじり上げるというようなことが密室で繰り広げられたとしたら。そこは・暗黒の教室・だったのではないか。

当初、真相がわかればいいと思っていた和子はその真相を知って、許せないと思った。そして、こんなことが二度と教室で行われてはならないと感じた。

同じ頃、以前相談に行った弁護士からその後の状況を尋ねられた。和子が、学校からは謝罪も事実の説明もないと伝えると、福岡市に事務所を持つ八尋八郎弁護士を紹介されたのだった。
八尋は日本弁護士会などで少年問題に関する委員を歴任し、学校での生徒、児童のいじめ、自殺問題の裁判に数多く取り組んでいた。和子は自分が聞いた真相を洗いざらい八尋に話した。すでに裁判という2文字は、和子の頭のなかで現実の選択肢になっていたのである。
和子の話を黙って聞いていた八尋は、柔和な表情を保ったまま告げた。

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COURRiER Japon
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    須賀康須賀康
    (すが・やすし)
    1950年生まれ。政治・経済、医療分野などで幅広く「人と組織」の問題をテーマに取材活動を続ける。この10年間は特に少年犯罪、学校でのいじめによる自殺について、週刊誌・月刊誌などで多くの原稿を発表している。

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