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教育現場レポート
暗黒教室

須賀康

突然の担任辞職

葬儀から2日後には、自宅に「同級生の母親」と名乗る匿名の電話がかかってきた。
「うちの子どもは『匠君が先生にいつもいつも叩かれていた』と言っているんです」
初めて耳にする話だった。この電話の直後にも、顔見知りの母親から、同じことを聞かされた。和子は由美子にこう漏らした。
「匠が田中先生に叩かれていたことを同級生の母親たちはみんな知っていたのに、匠は自分たちには言わんかった。心配すると思って親には言えず、一人で悩んで死んだんや」
和子が認識している田中教諭による匠への「体罰」は、1月と事件当日の2回だけだ。しかし、たった2回で息子は死を選んだのか。その思いは疑問のまま残っていた。そして、匿名電話や、他の児童の母親の話で、ぼんやりとではあるが、息子が置かれていた「教室の日常」が見えてきたように感じられた。
真実を知りたい。
和子の思いはその一言に尽きた。訴訟を起こすつもりなどなかった。田中教諭と学校が事実を明らかにし、謝罪さえしてくれれば匠も許してくれる、それが偽らざる思いだった。

匠の死から1週間が経過した。校長ら学校関係者が何度か自宅を訪ねてくるものの、和子らが知りたいことは語られないままだった。思いあぐねた和子は、校長に事件当日のことを尋ねた。校長は「調べている最中で、まだ何もわからない」と答えるだけだった。3月24日のことである。この日、遺族は正式に「事件当日に学校の中で匠と田中教諭の間で何があったのか事実を解明し、説明してほしい」と申し入れている。
その一方で、和子は初めて自分の弟の知り合いである弁護士のもとを訪れた。
「どうしたいの」
そう尋ねる弁護士に、和子は事実を知りたい、学校に謝ってもらいたいと答えた。自分が一生のうちで弁護士とこうして話すことがあるとは想像もしていなかった。緊張しているのがわかった。

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    須賀康須賀康
    (すが・やすし)
    1950年生まれ。政治・経済、医療分野などで幅広く「人と組織」の問題をテーマに取材活動を続ける。この10年間は特に少年犯罪、学校でのいじめによる自殺について、週刊誌・月刊誌などで多くの原稿を発表している。

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