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寺修行がこたえた?立松和平氏62歳で逝く

62歳の若さで死去した作家の立松和平さん
62歳の若さで死去した作家の立松和平さん
Photo By スポニチ

 小説「遠雷」などで知られ、環境保護活動やテレビ朝日「ニュースステーション」などでの実直な語り口でも親しまれた作家の立松和平(たてまつ・わへい、本名横松和夫=よこまつ・かずお)さんが8日午後5時37分、多臓器不全のため都内の病院で死去した。62歳。栃木県宇都宮市出身。葬儀は近親者のみで済ませ、後日、しのぶ会を開く。喪主は妻美千繪(みちえ)さん。立松さんは先月から入院していた。

 立松さんは1月中旬に講演先の大阪市内で体調を崩し、帰京して都内の病院へ入院。心臓の手術を受けた。関係者によると、その後は回復に向かっているとみられていたという。

 8日午前に容体が急変。睡眠導入剤を服用していたためか、眠るように息を引き取ったという。美千繪さんは病院から連絡を受けて駆け付けたが、立ち会えなかった。

 遺体は東京・恵比寿の自宅兼事務所に無言の帰宅。美千繪さん、長男で文筆家の林心平さん、長女でイラストレーターの山中桃子さんら家族が傍らに付き添っている。

 年明けから奈良県内の寺にこもり、1週間ほど修行。関係者は「寒さが身にこたえたのでは…」と話した。知人の男性は「昨年末の忘年会も、今年の新年会でも凄く元気だった。入院したときも深刻ではないと思っていたので、凄く驚いている」と振り返った。

 立松さんは早大政経学部在学中に「自転車」で早稲田文学新人賞を受賞するなど、早くから頭角を現し、卒業後は宇都宮市役所勤務などを経て文筆業に専念。80年、都市化する農村の若者を描いた「遠雷」で野間文芸新人賞を受け、脚光を浴びた。97年に「毒―風聞・田中正造」で毎日出版文化賞。

 後年は仏教への関心を深め、歌舞伎脚本として書いた「道元の月」は、02年に東京・歌舞伎座で坂東三津五郎(54)主演で上演。07年には「道元禅師」で泉鏡花文学賞と親鸞賞を受賞した。

 小説のほかにも世界各地を旅行して著作を発表。80年代後半から「ニュースステーション」のリポーターを務め、栃木弁の朴とつな語り口で人気を得た。環境問題に積極的に発言したりするなど行動派の作家として多くの分野で活躍。90〜91年には、パリ・ダカール・ラリーにナビゲーターとして出場し話題を呼んだ。

 93年には雑誌連載中の小説「光の雨」の一部が、元連合赤軍幹部の坂口弘死刑囚の著書と酷似していると指摘され、「安易な形で引用してしまった」と謝罪。後に全面的に改稿して発表し、映画化もされた。

 昨年12月、全30巻に及ぶ「立松和平全小説」(勉誠出版)の第1巻が発売されたばかりだった。

 本名が「横松」のため、ペンネームは「横」を「たて」にして「立松」としたとも言われる。

Yahoo!ブックマークに登録 [ 2010年02月10日 ]

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