劇団四季の福岡公演問題で新たな展開です。
10日ほど前に公演の無期限休止を発表した劇団ですが、きのう一転して8月までの公演延長を決めました。
揺れ動く劇団とファンの熱い思いを取材しました。
先月26日、浅利慶太代表が、突然の会見で発表した劇団四季の福岡公演の無期限休止。
観客動員数の低迷などの理由からきのう、千秋楽を迎えた「コーラスライン」を最後に、福岡シティ劇場での定期公演を休止するというものでした。
突然の発表に、ファンには衝撃が走りました。
小学生の頃から20年間四季の会に所属し、劇団四季を応援し続けてきた筒井美奈子さん。
筒井さんは、劇団四季のダンサーに憧れて、高校生の頃はダンス部に所属し、全国大会で2位になるなど素晴らしい成績を残してきました。
その後、見る側に回っても、4歳になる息子のはるきくんと、これまでに10回以上はシティ劇場に足を運んだといいます。
劇団四季が説明する公演休止の決定的な理由は、2007年に上演された「マンマ・ミーア」。
九州の気質に合うだろうと、劇団四季が送り出した自信作でした。
しかし、大阪や名古屋で記録的なロングラン上演となった反響に比べ、福岡では予想外の不振となりました。
福岡には劇団四季だけではなく、同じ博多区内に博多座もあり、様々な演劇を楽しむことができます。
しかし、その博多座も客の入りは低調で、新しい文化がなかなか根付かない理由の一つに、演劇の関係者たちは福岡の「熱しやすく冷めやすい」という県民性を挙げています。
しかし、公演休止に対するファンからの反響は予想以上に大きく、劇団四季にはホームページなどを通じて、およそ500通のメッセージが寄せられました。
きのうの千秋楽もチケットはすべて売り切れ、劇場は満席。
こうしたファンの熱い思いが、劇団四季を動かしました。
千秋楽に、浅利代表は公演休止の一時的な延期を発表しました。
一旦は無期限の公演休止を発表した劇団四季ですが、発表から10日、ファンからの熱いメッセージを受け、休演は一時先延ばしとなりました。
浅利代表が、直接観客に説明すると、ファンからは大きな拍手と歓声が起こりました。
劇団四季は、今後、4月から8月までの5か月間、シティ劇場で4作品を上演します。
しかし、あくまでも公演休止の方針に変わりはなく、延期期間中の観客動員数を慎重に見極めることにしています。
このため、シティ劇場との年間契約を更新する予定はなく、9月以降のスケジュールはまったく決まっていません。
定期公演を休止する方針の一方で、劇団四季は九州で続けている小学生向けの無料公演を今後、さらに増やしていきたいと話しています。
文化の東京一極集中を避けたいと、地方での公演を広げてきた劇団四季。
定期公演の延期期間中も動員数が伸びずに終われば、福岡でのロングラン上演はさらに厳しくなります。
ただ劇団四季では、熱心なファンが無理してチケットを購入しても長続きするものではないとして、これまで見たことのない人たちに足を運んでほしいとしています。
1996年当時、福岡で初めてとなる常設の専用劇場を設け、活動を続けてきた劇団四季。
福岡での見通しは決して明るいとはいえませんが、最終的な決断をする日が迫っています。