全国の市町村で最も多い約13万人の生活保護受給者がいる大阪市は9日、昨年12月に受給を申請した2816人のうち、1割近い274人は半年以内に市外から来て申請した、という調査結果を明らかにした。別の自治体から、大阪市で申請するよう勧められたケースもあったという。
同日あった市の「生活保護行政特別調査プロジェクトチーム」の会合で示された。
市は国に、市内に住んでいない人の生活保護は、元々の居住地や最初に相談を受けた自治体の責任とする「現在地主義」の徹底を求める。また平松邦夫市長は会合で「他の自治体が『大阪に(申請に)行けばいい』というような事態は、全額国庫負担にしないとなくならない」と述べ、生活保護費はすべて国が負担すべきだとの考えを示した。
市は2009年4〜12月に市外から受給申請した人のうち27人について、この人たちが最初に相談した自治体に申請を受け付けるよう申し入れた。だが協議は進まず、「早急に保護が必要」と判断し、大半は受け入れたという。
27人の内訳は大阪府内が12人、九州や四国など府外が15人。市の聞き取り調査に対し、相談に行った自治体の担当者から「大阪市西成区に行けば申請が認められやすい」と聞いたり、大阪までの片道運賃を渡されたりした、などと説明したという。市はこうした事態が今後判明すれば、自治体名の公表も検討する。
同市西成区のあいりん地区にある市立更生相談所では、昨年12月に受け付けた生活保護の相談者165人のうち約4割の68人が、3カ月以内に市外から訪れた人だった。
大阪市では08年末ごろから生活保護受給世帯が急増。09年12月で10万5474世帯の13万6617人が受給しており、市民の20人に1人にあたる。保護費は10年度当初予算で、過去最高の2888億円(うち市の負担分722億円)に上る見込みだ。