シャープは8日、液晶ディスプレーの画質向上にかかわる技術の特許を巡り、韓国のサムスン電子と世界5カ国で争ってきた21件の訴訟について和解が成立し、お互いに訴訟を取り下げると発表した。サムスンがシャープに和解金を払うと見られるが、両社は「詳細な内容は公表できない」としている。
和解により、訴訟の対象になっていた特許は相互に利用できるようになる。ただし、最新の技術は対象外。両社とも訴訟中から特許を侵害しないよう回避策をとってきたため、直接の影響は限定的だ。
シャープによると、訴訟合戦の発端は2007年8月。シャープがアメリカでサムスンを提訴したところ、サムスンが11月に反訴した。これまでに日本、韓国、米国、ドイツ、オランダでシャープが原告の9件、サムスンが原告の9件、双方が原告の3件の計21件の訴訟が起こされた。うち7件で一審判決が出て、シャープの5勝2敗という。
シャープは「当社に有利な条件で和解できた。訴訟のコストや労力がなくなるメリットも大きい」。サムスン電子は「それなりの期間交渉してきた結果だ。業績などへの影響は言えない」としている。