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続投宣言の小沢氏、米大統領との会談にも意欲

2010年2月9日1時30分

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写真会見する民主党の小沢一郎幹事長=8日午後、東京・永田町、水野義則撮影

 民主党の小沢一郎幹事長が8日、党務に完全復帰し、精力的に動き出した。鳩山由紀夫首相から幹事長続投の言質をとり、記者会見では元秘書らが起訴された土地取引事件での「潔白」を宣言。大型連休中のオバマ米大統領との会談にも意欲を示した。まずは小沢氏は党務に集中しつつ、厳しい世論の動向を見極める構えだ。

 小沢氏は8日夕、不起訴処分後、初めての定例記者会見に臨んだ。「最初は私から申し上げる」と切り出し、言葉を慎重に選びながら「心配をかけておわび申し上げる」と陳謝した。

 ここで一拍おいて「ただ」と言うと、「検察当局の公平公正な捜査で、不正なカネを受け取っていないということが明白になった」と強調。説明不足との指摘には「強制捜査を受け、2度事情の説明をした。その結果、これ以上の説明はないんじゃないかと思う」。不起訴処分となった以上、もう説明は不要というわけだ。会見では正面からの検察批判は控えたが、事実上、検察当局に対する勝利宣言だった。

 小沢氏の矛先は報道にも向かった。朝日新聞など複数の全国紙の世論調査で「幹事長辞任」を求める意見が7割前後に及び、小沢氏に厳しいことについて質問が及ぶと、こう反論した。

 「ここ1カ月以上にわたり、小沢一郎は不正なお金を受け取っている、けしからん人物であるという報道が続いた」と指摘。「私の願いは、小沢一郎は不正な献金を受けとっていなかった、潔白だったという報道を続けていただき、その後に世論調査をしていただければ」と語った。

 強気の裏には「小沢氏擁護」で一貫している鳩山首相の存在がある。首相は8日午前の衆院予算委員会で小沢氏の政治責任について「当然あると思っている」と語った。

 だが、小沢氏と首相は昼過ぎ、首相官邸で14分間会談。国会運営や参院選の候補者擁立状況について報告した小沢氏が「この仕事をこういうことで続けていってよろしいか」と尋ねると、首相は「ぜひ、一生懸命がんばってください」と応じた。首相周辺は「小沢さんはえらい元気で首相執務室に入り、えらい元気で執務室を出ていった」。

 この日の会見では、本格的な活動再開を見せつけるかのように、外交にも積極的に乗り出す姿勢を示した。

 小沢氏は、今月2日のキャンベル米国務次官補との会談で同氏から「民主党としてゴールデンウイークにでも訪米団を送って欲しい」と要請があったことを明かした。小沢氏は検討するとした上で、オバマ大統領との会談について「せっかく行くとすればそれなりの十分な時間を取っていただかないと困る」と伝えたという。大型連休の頃は、首相が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先を最終決定する時期にあたる。

 小沢氏周辺には「微妙なタイミングでの訪米は官邸とも調整しながら慎重に検討した方がいい」との意見もあったが、小沢氏は終始、積極的な姿勢を示したという。自らが日米関係の懸案に取り組む意向を示したとも言える。

 この日の同党役員会でも小沢氏は米側の訪米要請を取り上げ、「(昨年12月に)中国を訪問した時は、胡錦濤(フー・チンタオ)(共産党)総書記に出迎えてもらったのだから、ぜひ行くからにはオバマ大統領との面会も実現できればいい」。

 選挙対策でも小沢氏は8日はフル回転だった。午前中に党佐賀県連が参院選佐賀選挙区に擁立を決めた新顔の立候補予定者らと面会。午後には、入党を要請していた無所属の田村耕太郎参院議員と会い、入党と比例区での擁立を決定した。

 小沢氏のこんな動きから、周辺は「西松建設事件で党代表を辞めた去年とは違う。少なくとも参院選まではやる」と見る。

 だが、今後、小沢氏に対する世論の厳しい批判が沈静化する可能性は低い。党内の大勢も世論の行方を見極めようとじっと沈黙を続けている。「夏の参院選までのどこかのタイミングで辞任せざるを得ないのではないか」(幹部)という見方もくすぶったままだ。(蔵前勝久)

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