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続・児童虐待

柳美里

ですから、今の柳さんには想像すらできないような子ども時代の願望、不満、それを探す旅をしようと思っているんですよ。オールド・ワイズ・マンの存在が支えになると思いますしね。

今回の作業がうまくいったら、柳さんの今後の人生は真逆になるかもしれません。

 真逆? 真逆というのは、えーっと……。

長谷川 外的現象ではなくて、柳さんから見た世界の見え方、人物一人ひとりの見え方がガラッと変わると思う。

 対人関係も?

長谷川 全部変わると思う。八月一日のカウンセリングで、「トラウマにピリオドを打つことなんてできない」と言いましたね。図形に喩えるなら、ピリオドに隠れて、ちょうど円錐形のように奥に広がっている世界があるわけです。円錐の頂点だけを見て「ピリオドを打った」と勘違いしてしまう。頂点が置かれる二次元世界に目を奪われている以上、単純な「点」にしか見えない。簡単に点を打てるように錯覚してしまう。でも実は、もう一つ奥行きというZ軸があって、その奥にはこぉんな大きな世界が放置されたままになっている、っていう感じです。

 でも……起こってしまったことは、変えられないですよね? 起こらなかったことには、できないわけですよね?

長谷川 その起こってしまったことというのは、どのあたりのことを指しているんですか?

 小さいときから今までの……四十一年間生きて、起こってしまったことというのは、もう変えられないわけじゃないですか……。

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コメント / トラックバック1件
  1. あがた より:

    柳美里さんの壮絶な人生に驚きを隠せません。しかし意味の無いものは何も無いと私は思っています。偶然は無くすべて必然だと。氏にとっては必要な出来事だったと思います。そして氏に耐える力があるからこその試練だと。神は耐えられない試練には会わせないというのは本当だと思っています。人は与えられた人生出来事を受け止めた時その方の使命が輝きでると信じるからです。現に氏の文章に由って多くの人が癒されているのではないでしょうか。長谷川先生のおっしゃるようにご自分を受け入れてくださいませ。私は専門化ではありません。ですがこれまで生きて来た中でこのことは間違いないということを身をもって知りました。例え世界中の人間があなたを見捨るようなことがあっても柳美里さんあなただけはあなたを抱きしめてください。受け入れてください。そのままのあなたを。どこまでもどこまでも受け入れてください。

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COURRiER Japon
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    柳美里柳美里
    (ゆう・みり)
    1968年生まれ、神奈川県出身。劇作家、小説家。1993年に『魚の祭』で岸田戯曲賞を、1997年には『家族シネマ』(講談社)で芥川賞をそれぞれ受賞。『ゴールドラッシュ』(新潮社)、『命』(小学館)、『柳美里不幸全記録』(新潮社)など、小説、エッセイ、戯曲の作品多数。

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