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続・児童虐待

柳美里

たとえば柳さん、昨年の二月、柳さんのお宅に児童相談所の福祉司がやってきましたよね。そのときにですね、「息子さんを叩きましたか? どこを何発叩いたんですか?」と詰問されたり、「あなたは母親として間違っています。ここが間違っているから、こう変えましょう」と指摘や助言をされたら、柳さんも頑なに拒絶するでしょう。でも、もし、「そうせざるを得ないご事情がおありなんですね。お気持ちは解りますよ。きっとお辛いんでしょうね」と言われれば、相談してみようという気持ちになるかもしれないじゃありませんか。心の風向きを変えるのは、そういう言葉なんですよ。

今の彼に対しても同じです。息子さんに対しても同じ。今起きていることに対しては、スタートはオーケーなんです。家族との関係、近所のひととの関係、教師との関係、ほかの保護者との関係、編集者との関係、全ての人間関係に困惑し、すごく不器用に、それでも精一杯生きている柳美里さん、私は素晴らしいと思いますよ。尊敬します。

「対人関係も全部変わると思う」

 あの……つまりそれは……私の、今の現実がありますよね? 私が困っているのは、目の前に在る現実なんですよ。家に帰ると、息子がいて、彼がいる。外に出ると、近所のひとと会う。息子が通っている学校の、先生やほかの保護者とも付き合わなければならない。仕事では、編集者とのやりとりがある。でも、今の、この現実の人間関係を改善するためには、今に目を向けてはいけないということですか?

長谷川 おそらく今に対しては、過去に何度も改善を試みられたのではないでしょうか? しかし、改善しようとすればするほど、改善できない。最終的には、「どうして解ってくれないの?」「どうして嘘を吐くの?」「どうしてこうなるの?」と感情をぶつけて終わってしまう。今だけを見て修復を目指しても、なかなかうまくいかないんです。

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コメント / トラックバック1件
  1. あがた より:

    柳美里さんの壮絶な人生に驚きを隠せません。しかし意味の無いものは何も無いと私は思っています。偶然は無くすべて必然だと。氏にとっては必要な出来事だったと思います。そして氏に耐える力があるからこその試練だと。神は耐えられない試練には会わせないというのは本当だと思っています。人は与えられた人生出来事を受け止めた時その方の使命が輝きでると信じるからです。現に氏の文章に由って多くの人が癒されているのではないでしょうか。長谷川先生のおっしゃるようにご自分を受け入れてくださいませ。私は専門化ではありません。ですがこれまで生きて来た中でこのことは間違いないということを身をもって知りました。例え世界中の人間があなたを見捨るようなことがあっても柳美里さんあなただけはあなたを抱きしめてください。受け入れてください。そのままのあなたを。どこまでもどこまでも受け入れてください。

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COURRiER Japon
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    柳美里柳美里
    (ゆう・みり)
    1968年生まれ、神奈川県出身。劇作家、小説家。1993年に『魚の祭』で岸田戯曲賞を、1997年には『家族シネマ』(講談社)で芥川賞をそれぞれ受賞。『ゴールドラッシュ』(新潮社)、『命』(小学館)、『柳美里不幸全記録』(新潮社)など、小説、エッセイ、戯曲の作品多数。

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