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続・児童虐待

柳美里

 でも、そんなひとって、いるんでしょうか? この世に存在する一つ一つの家庭を取材して歩いたわけじゃないから、はっきりしたことは言えないけど、みんな、いろいろな問題を、もちろん大したことないものから深刻なものまで程度の差はあるだろうけど、どの家庭も秘密や問題を抱えてるんじゃないでしょうか? そんな夢みたいな人生を送ってるひと、いないんじゃないかな?

長谷川 それは今の柳さんの認識上いないということなんですよ。美里ちゃんの心で願望としての家庭を描けるようになったら、初めて、自分が育った家庭を嘆くことができるかもしれない。まだ、嘆くことができないんですよ。自分を責めることは得意なんですけどね。そして、息子さんとの関係で自己嫌悪に苛まれる。「自分が悪いんだ。自分なんていなければいい。消えてしまいたい」と思う。でも、肝心の自分を慈しむこと、自分に優しくすることが、柳さんにはできない。優しくされた、慈しまれたことがないから、それがどういうものか解らないんですよ。

同居人の彼を息子がかばう

 それはアレですか、同居している彼に対して厳しく接してしまうのも、そういうことが原因となっているんでしょうか?

長谷川 うん。知人程度ならいいんですが、心の距離が近づいてくると、お互いに、相手の自分と違うところを尊重し合わないとやっていけませんよね? けれど、柳さんも彼も、尊重し合うことに関して不器用なんじゃないですか? 意見の主張し合いがエスカレートして、自分の思い通りにならなくて感情が爆発してしまう。

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コメント / トラックバック1件
  1. あがた より:

    柳美里さんの壮絶な人生に驚きを隠せません。しかし意味の無いものは何も無いと私は思っています。偶然は無くすべて必然だと。氏にとっては必要な出来事だったと思います。そして氏に耐える力があるからこその試練だと。神は耐えられない試練には会わせないというのは本当だと思っています。人は与えられた人生出来事を受け止めた時その方の使命が輝きでると信じるからです。現に氏の文章に由って多くの人が癒されているのではないでしょうか。長谷川先生のおっしゃるようにご自分を受け入れてくださいませ。私は専門化ではありません。ですがこれまで生きて来た中でこのことは間違いないということを身をもって知りました。例え世界中の人間があなたを見捨るようなことがあっても柳美里さんあなただけはあなたを抱きしめてください。受け入れてください。そのままのあなたを。どこまでもどこまでも受け入れてください。

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COURRiER Japon
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    柳美里柳美里
    (ゆう・みり)
    1968年生まれ、神奈川県出身。劇作家、小説家。1993年に『魚の祭』で岸田戯曲賞を、1997年には『家族シネマ』(講談社)で芥川賞をそれぞれ受賞。『ゴールドラッシュ』(新潮社)、『命』(小学館)、『柳美里不幸全記録』(新潮社)など、小説、エッセイ、戯曲の作品多数。

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